日本男子初のメジャー制覇を目指す松山英樹(25=LEXUS)が、いきなりつまずいた。1バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの4オーバー76で回り首位と11打差の54位発進。グリーン上の取りこぼしが目立つスタートとなった。

 「納得はできないですけど、明日に向けて切り替えていけたら」と前を向いた松山だが、悔しさで表情はこわばったままだった。過去80度のマスターズで、11打差を逆転した例はない。優勝者の第1ラウンドワーストスコアは82年スタドラー(米国)の75。05年のウッズ(米国)は74の33位発進からプレーオフを制したが、第1ラウンド終了時の差は7打だった。歴史的な巻き返しが求められる。

 7番でティーショットを左に曲げ「想定外だった」という第2打はグリーンをオーバーし、ギャラリーエリアへ。木に当たった第3打が反対側のエッジへ転がり、そこからパターで3打を要してダブルボギーとなった。過去18ラウンドでホール別最多10バーディーを奪うなど、データ上は得意とする8番を始め、3度の3パット。合計35パットは93人のうち91位と、この日2番目に悪い数字だった。1・5メートルから3メートル以内のパットを5度打って4度外した。成功率20%は84位。こちらも下位に沈んだ。

 パーオン率77・78%で2位につけ、高確率でグリーンを捉えるからこそパット数がかさみやすい部分はあるものの、明らかにグリーン上で苦しんだ。16番パー3は傾斜を利用してピン方向へ戻そうと狙った落としどころから「1ヤードか2ヤード」右へずれた。結果的に難しい下りのラインを残し3パット。「風は去年も吹いているので仕方ない。その中でうまくプレーできなかった」。強烈な風の中、ささいなミスも許されない極限の勝負を戦っている。

 このまま終わるわけにはいかない。「(上位との差は)大きいですけど、いいプレーができれば、まだまだチャンスはあると思います。いいプレーができなかったら、全くチャンスはないですけど。いいプレーができるように準備したいと思います」。どこまでも自分次第。そう言い切れるだけの地力を備えていることは、誰もが分かっている。【亀山泰宏】