原江里菜(29=NEC)が猛チャージで37位から、V圏内の2位に急浮上した。

 公式会見場に姿を見せた第一声が「ほんっと、楽しかった~」。とろけそうな笑顔に、心底の喜びがにじんだ。前半4番から6連続バーディーを奪った。後半は17番パー4で、残り155ヤードの第2打を7番アイアンで放り込み、イーグルを奪った。6連続バーディー、8アンダーの64は、昨年11月17日の大王製紙エリエール第1ラウンドでマークした7連続バーディー&63という2つのツアー自己ベストにあと1つと迫る会心のプレーだった。

 トンネルから抜け出した。11月7日に30歳となるシーズンを前に、レベルアップを狙ってスイング改造に着手した。「よりスムーズに、よりオートマチックに振りたい」。昨季まで、テークバックでゆっくり上げ、ゆっくり切り返していたリズムを、速く上げ、速く切り返すようにした。必然、ヘッドスピードも上がって、飛距離も伸びる。オーストラリア合宿などで打ち込み、手応えを持って開幕に臨んだ…はずだった。

 ところが、先週までは3戦連続予選落ち、46位、40位…。あまりに悪い結果が続いたため、先週のヤマハレディース前に元に戻そうと決めた。

 「やってきたことをやめるのが本当に悔しかったんですけど、それ以上に結果が出ないことが悔しかったから…」。今大会開幕前日の6日には、コンビを組んで5年目の専属キャディー保科隆さん(45)に意見を求め、練習グリーン脇で約1時間、話し込んだ。「体を開かず、長いインパクトゾーンで球をとらえること」にチェックポイントを絞って本番に臨んだ。

 いきなり飛び出したスーパースコア。ツアー有数の愛飲家は、試合に影響がない日曜夜から火曜夜まで晩酌を楽しむ。しかし、最近はやけ酒気味で、最近覚えた芋焼酎のピッチが上がりすぎ、二日酔いで頭痛がすることもあったが、それもなくなりそうだ。

 首位の申ジエと4打差で迎える最終日。「きょうはずっと予選通過することばかり考えていたし…。明日の目標? う~ん、大たたきしないこと」。無欲で2年ぶりの通算3勝目に手が届くか。「おいしいお酒、飲みたいな~」とちゃめっ気たっぷりに笑った。