セルヒオ・ガルシア(37=スペイン)が通算9アンダーで並んだジャスティン・ローズ(英国)とのプレーオフを制し、74度目のメジャーで初優勝を果たした。

 プレーオフ1ホール目、18番で4メートル弱のバーディーパットを沈めたガルシアが感極まった。「この瞬間を、どれほど長く待っていただろう」。拳を握りしめて歓喜の雄たけびを上げた後は、婚約者で米ゴルフチャンネルリポーター、エイキンスさんと抱き合った。

 リードされて迎えた15番パー5。4メートルのイーグルパットを沈めて派手なガッツポーズを作ったが、背中を痛めているローズを気遣いながらのプレーだった。18番でガルシアがピンそば1・5メートルにつけた時は、ローズがサムアップでたたえた。両者の紳士な振る舞いが彩った激闘に、正規18番では決められなかったバーディーパットを執念でねじ込み、決着をつけた。

 19歳だった99年全米プロで4つ年上のウッズと優勝を争い、注目を集めた。しかし気が短く、コース内外でトラブルを起こした。02年全米オープンではギャラリーのやじに悪態をつき、13年にはウッズへの発言が人種差別と受け取られ謝罪する事態に。私生活では女子テニスのヒンギス(スイス)や、メジャー2勝ノーマン(オーストラリア)の娘らと浮名を流した。メジャーでトップ10に入ること22度。「正直に言うと、もうメジャーには勝てないのではと思った。今日は今までのメジャーの日曜日で一番落ち着いていた」。マスターズ出場19度目での初優勝は最も遅い記録だった。

 くしくもこの日は、11年に亡くなった母国の英雄セベ・バレステロス氏の誕生日。「(生きていたら)セベの60歳の誕生日に勝てた。こんなにうれしいことはない」と感慨に浸った。かつて“神の子”と称された才能は成熟し、スペイン勢3人目のマスターズ覇者として歴史に名を刻んだ。【亀山泰宏】