鈴木愛(23=セールスフォース)が、母の日にツアー通算4勝目を飾った。両膝に故障を抱え、17番パー4では痛恨のダブルボギー。それでも我慢のゴルフでイーブンとし、通算7アンダーの209で逃げ切った。苦労をして育ててくれた母美江さん(46)が見守る前で今季初勝利。賞金ランクでも日本勢トップの2位に浮上した。2打差の2位にイ・ミニョン(韓国)。

 振り向くと母がいた。14番パー4。鈴木は大勢のギャラリーの中で母美江さんを見つけた。「妹(花奈さん)のプロテストがあるから来ないと言っていたのに。急にいたからビックリした」。新幹線に飛び乗り、四国から急きょ駆けつけた母。その姿に力が湧いた。母の前で14、16番とバーディー。古傷の両膝が悲鳴を上げる。17番でダブルボギーをたたいたが、どうしても勝ちたかった。今季初Vの瞬間、大好きな母と大喜びした。

 「今までで一番、いい母の日になりました。飛行機やレンタカーの手配。マネジャーみたいに何でもやってくれる。賞金をたくさんもらえたから、欲しいものを買ってあげたいです」

 炊飯器とお米を抱えて、母はツアーに同行する。「コンビニのご飯だと体に良くない」。そう言って真夜中に宿舎ホテルで米をとぎ、おにぎりを作ってくれる。生まれ育った徳島を離れ、鳥取の倉吉北高に進学した際には、両親は引っ越しをしてまで支えてくれた。

 前日13日には棄権を考えたほど両膝は痛んだ。それでも「笑顔の方が見栄えがいい。なるべく笑うようにしていた」と満身創痍(そうい)でつかんだ優勝だ。「今年は5勝。メジャーでもう1勝狙いたい」。母との二人三脚で、初の賞金女王を目指す。【益子浩一】