今平周吾(24=レオパレスリゾートグアム)が4バーディー、ノーボギーの67で回り、4アンダーで初の単独首位発進を決めた。今季国内開催4試合のうち3試合でトップ10入りするなど安定感が際立つ若手のホープ。ツアー初優勝へ最高のスタートを切った。

 18番パー4で今平はティーショットを大きく右に曲げた。木が邪魔になり、ピンどころかグリーンも狙えない。「あそこしか入れられなかったので」。低く出してあえてグリーン左手前のバンカーに入れ、1メートルに寄せてパーセーブ。唯一のピンチも冷静に切り抜けた。

 初優勝を期待されて久しい。今季は中日クラウンズでもツアー自己ベスト「64」をマークしてトップタイでスタートするなど好調を維持。2週前のレジェンド・チャリティープロアマは最終ホールで入れれば優勝のバーディーパットを外し、プレーオフで敗戦。表彰式後、日本ゴルフツアー機構の青木功会長に声をかけられた。右手をガッチリ握られ「もうちょっとだ。頑張れ」。今までも当然あいさつはしてきたが、面と向かって話をした記憶はあまりない。「『はい』しか言えませんでした」。直々の激励に身が引き締まった。

 青木会長だけではない。今季から用具契約を結ぶメーカーの記者発表が、都内のリッツ・カールトンで開催された時のこと。同じメーカーの契約プロとして出席していた谷口徹から「リッツ・カールトンですよ。今平は期待されてるんだから、5勝くらいしないと」と指令を受けた。当時は苦笑いするばかりだったが、この日は「若い人が活躍しないと」。今季20代の日本人が優勝していない現状に使命感も芽生えてきた。

 「まだ初日。あと3日アンダーパーで回れば最終日にいい位置で回れると思う。今週頑張ります」。控えめでおとなしい24歳が、言葉に力を込めた。【亀山泰宏】