3年ぶりツアー優勝した上田桃子(30=かんぽ生命)の優勝会見での一問一答。

 -ようやく優勝会見の席に戻ってきた

 上田 忘れました。この味は。最終日にここに来るのは久しぶりなので、本当にうれしいです。

 -どんな1日だったか

 上田 昨夜はほとんど眠れませんでした。優勝争いは何度も経験していますが、あまり、こういう風に感じたことはなかった。(プレーオフの末に敗れた4月の)熊本の時もそうですし、その前に負けたヨネックス、それまで優勝争いをした大会…。1日目、2日目にいい感じできているのに、ショットも良くなっているのに、自分の思うようなスコアにはならない。優勝が近いようで、遠く感じていました。失敗をするのは嫌ではないですが、同じ失敗をすることが嫌でした。だからこそ、練習も頑張っているつもりですが、自分の中で覚悟を決められずにいた。克服しなければいけない壁が高かった。熊本で勝てていれば、今年はいい感じだと思えていたかも知れません。気持ちを切り替えようとしても、大事な場面に直面すると、どうしてもいろいろ考えすぎて、丁寧になってしまって、自分らしくプレーができない。そんな事が今まで多かったから、それを克服できた1日。すごく長くて、暑くて、キツい1日でしたが、やりがいのある1日だったと思います。

 -バーディーパットが入るか、入らないかで気持ちがだいぶ違ったのでは

 上田 1番から試されていると思いました。2番、3番と試されて、楽な1打はないんだと思いながらスタートをした。今日は鈴木愛ちゃんと同じペアリングで、彼女はパットのランキングは常に上位。彼女がパットで1番なら、私はショットで1番になればいい。彼女は女子ツアーで1番パットがうまい選手。だったら、私は毎ショット、内側につけて行こうと。だからこそショットに関するプレッシャーもどんどん出てきた。去年からスイングを変えようと取り組んでいる中で、コーチや師匠と出会って、そこに対して向き合ってきた。自分が復活できたのも、いい指導者に巡り会えたから勝てた1勝だと思います。感謝しています。

 -16番のティーショットは

 上田 ボールに傷がついていたので、岩に当たったんだなと思いました。(それにもかかわらず)セカンドが平らで、すごくいいアングルだったので、ツキもあるかなと思います。

 -昨夜は何時間寝たのか

 上田 1、2時間くらいですね。12時くらいにベッドに入りましたけど、ほとんど意識があったから寝た感じはないです。

 -ベッドで何を考えていたか

 上田 ショットは私が一番チャンスがある。これだけ調子がいい時に勝てなかったら、いつ勝てるのだろうと考えていた。1日目、2日目の取りこぼしが4、5個あって。それを決めていれば、ぶっちぎりで最終日を迎えられていた。こんなに混戦になるということは、パターが入らないと勝てない。そう考えたら、明日はパターがうまい選手(鈴木愛)とだし(優勝争いの)相手は10~15人。バーディー合戦になることは分かっていたので、パットが決まらないと勝てない。またチャンスを逃すのかなと、もんもんと考えていました。それで、部屋に大きな鏡があったので、鏡の前でパターの素振りをしていました。何か、自信を持てるものが欲しかった。

 -睡眠時間が取れなくてキツくなかったのか

 上田 (プロ野球)侍ジャパンの筒香選手が、朝まで気が晴れるまで素振りをしたという記事を読んだ。睡眠なんていつでもとれる。自分の気が済むことをしたかった。気持ちと、自分の頭の中を整理しようと思っていたら、ほぼ寝られなかったです。夜中に、コーチが荒川先生(昨年12月に他界した荒川博さん)からのメモを画像で送ってくれた。これだけ練習したんだから、大丈夫というラインのメッセージをもらった。荒川先生の日記にあった言葉にも「よく練習ができている」と書いていただいたのに、私はまだまだ強くなれない。自信が持てるまで稽古が必要だと感じた。まだまだ不安なのは、練習が足りないだけ。たくさんの人の力が、今日、私に覚悟を決めさせてくれた。

 -優勝までの3年間は長かったか

 上田 ずっと近くて遠かった。(4月に)熊本で勝てないのは、ダメージが大きかったです。そこから自信を持つのは、大変なことでした。それでも自信を取り戻せるようにショットでスコアを作ってこられた。今年、勝てなかったらゴルフを辞めようと思っていました。自分の中でケジメをつけたい。できることを全てやってきた中で、勝ちにこだわれなくなった時には、自分の中ではもう、厳しいと思っていた。チームのみんなにも、昨年のオフには(引退の意思を)伝えていました。それだけの覚悟を持っても、勝てない時は、ゴルフを辞める時だと思っていました。今年1年が終わって、どうなるかは分からないですが、まだ頑張れる。そう思える1日になった。

 -次の目標は

 上田 パターが自信を持って打てるようになって、そこから(今季)2勝目を狙いたい。