今平周吾(24=レオパレスリゾートグアム)が4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算9アンダーの275でツアー初優勝を飾った。ただ1人4日間アンダーパーをそろえて2位に6打差をつけ、第1日からトップを譲らない完全V。期待され続けた若手のホープが、ついに殻を破った。

 ウイニングパットを沈めた今平にガッツポーズはない。いつもより少し笑顔で同伴競技者と握手。「人生で一番うれしい」。でも、はた目には分からない。ゴルフを始めたばかりの頃は「よく泣いていた」少年が、無意識で身に付けた鉄壁のポーカーフェースだった。

 初めて単独首位で迎えた最終日。いきなりダブルボギーだったが、続く2番で7メートルのバーディーパットを流し込んだ。3番も4メートルを入れてパー。「そこで平常心になれた」と振り返る。 父博康さんの指導で始めたゴルフ。高校生になる頃、自宅に小さな練習場ができた。埼玉栄高1年時の08年に松山英樹を破って日本ジュニア優勝。翌年高校を中退して渡米した。追い込まれて覚悟が決まった。「自分にはゴルフしかない」。支えてくれた両親には感謝しかない。

 もともと「ゴルフで挫折したことは、あまりない」という天才肌。ホールアウト後に球を打つようになったのも今年から。「オフも例年の2倍は打った。やっぱり、球を打った方がうまくなりますね」と笑う。高い技術を持つがゆえ、今更ながら気付いた。「どんどん優勝していきたい。日本で賞金王になって海外に挑戦したい」。若者らしく野望を語った。【亀山泰宏】