伊藤涼太(26=フリー)が6バーディー、3ボギーの3アンダー69で回り、20位ながら首位と3打差の好位置につけた。12歳でのツアー史上最年少出場など、アマチュア時代に輝きを放った“元天才少年”。ケガに端を発した深刻な不振から再起を誓い、13年のプロ転向後2試合目となるレギュラーツアーで上位を目指す。

 久々のレギュラーツアーに伊藤涼は「やっぱりいいですね」と笑った。課題の第1打は乱れたが、16番で10メートルのバーディーパットを入れるなどカバーした。

 アマチュア時代に出場したプロの試合は45を数える。「体ができていない状況で試合に出過ぎて、練習量も増やして…」。左の股関節に水がたまり、日常生活にも支障が出た。3カ月間、一切クラブを握らず、完治に向けた地道な取り組みが始まったのは高校生の頃。ケガが癒えても苦しみは続く。「かばって打つスイングが染み付いてしまっていた」。主催者推薦の打診を「今出ても通用しない」と断る一方、ミニツアーで感覚を取り戻そうともがいた。大学時代は米国やタイへ武者修行にも出向いた。

 昨年は初めて最終予選会まで進むなど、少しずつ前進。「ゴルフをやめようと思ったことは、しょっちゅうある」と笑った後で続けた。「まだ若いんで、限界まで頑張りたい。やめるのは簡単なんで」。精悍(せいかん)な顔で誓った。