日本女子ゴルフ界の国民的ヒロインが第一線を退く。宮里藍(31=サントリー)が26日、今季限りでの現役引退を発表した。担当記者がその素顔を語る。

 「私はやめないです。ゴルフ、好きですから。子供もしっかり育てて、いいプレーもできたら最高です」

 取材した03年11月2日付の紙面を読み返すと、宮里はこう話していた。プロデビュー直前だった。その後は期待に応えて勝ち続け、海を渡った。最強だったアニカ・ソレンスタムは30代半ばで、彼女は「私はアニカの年齢までに、あのレベルに達したい。目標は世界一」と言っていた。

 だが、20代後半からゴルフの難しさを突き付けられた。引退の決断までには相当悩んだと思うが、彼女は頭脳も明晰(めいせき)で気遣いができる。05年秋、私が担当記者として最後に取材だと告げると、優勝会見後「ありがとうございました」とメッセージ入りのサイン色紙を手渡してくれた。関係者は「こんなことができるプロは見たことがない」と驚いていた。

 幼なじみや周囲の人々も「藍ちゃんなら、第2の人生も輝ける」と話している。「意志あるところに道はある」「ゴルファーの前に人格者でありたい」。口にしていた言葉を思い出しながら、彼女のセカンドキャリアに注目している。【02~05年担当 柳田通斉】