単独首位から出たチャン・キム(27=米国)が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算15アンダーの273でツアー初優勝を飾った。

 2位に5打差をつけ、日本ツアー参戦3年目でのキャリア初優勝。「今週は自分をコントロールして、少し大人のゴルフができた。大きな優勝をここで飾れたことが光栄です」と喜んだ。

 持ち味は何と言っても、188センチ、105キロという体が生み出す圧倒的飛距離。昨季ドライビングディスタンス311・29ヤードはツアー歴代1位。今大会の第3ラウンドでは、フォローの風の中、3番ウッドで320ヤードををかっ飛ばして周囲の度肝を抜いた。「3年目で日本のコースのことが分かってきて、安心して振れるようになったことが大きい。真っすぐ飛ぶようになった」。最終18番パー5も、当然のように2オンして2パットのバーディーで締めた。

 第1ラウンドの前半を終え「自分の中で気持ち悪さがあった」とクロスハンドに変更。その日の後半だけで5バーディーを奪うと、決勝ラウンド2日間の平均パット数は全体15位、9位と安定。抜群の飛距離にグリーン上もさえていたとなれば、必然の圧勝だった。

 韓国で生まれ、2歳でハワイに移住。カナダツアーやアジアツアーでもプレー経験があるが、日本とのつながりは15歳の頃にさかのぼる。ハワイで指導を受けたのは、日本で賞金王になったこともあるデビッド・イシイ。恩師の助言もあって挑戦した日本の最終予選会をトップ通過したのが14年。直後に腰を手術し、一時は落ちていた飛距離も徐々に戻ってきた。

 「今は日本でプレーできることが光栄」と話すが、将来的な米ツアー参戦も見据えている。22日には初のメジャーとなる全米オープン行きを決めたばかり。「アンビリーバブルウイーク」と驚きを隠せなかった。

 優勝会見冒頭で「緊張してあまり寝られなかった」と話し、あらためて昨夜のことを振り返ってみた。「午後10時にはベッドに入って、3、4回、目が覚めました。トータルでは5、6時間でしょうか…やっぱり、結構、寝られてましたね(笑い)」。体格だけではない“大物感”を漂わせた。