宮里藍(31)の引退会見後、父でコーチの優氏(70)も会見した。娘の決断に反対はせず、「よく頑張った」とねぎらったと明かした。その上で、今後もゴルフに携わることを願った。

 --引退決意の聞いた時、どう思いましたか

 優氏 始まりがあれば、終わりがある。いつやめてもいいと思っていましたので、聞いた当初から「あっ、そうか。よっしゃ。よく頑張った」と答えました。

 --藍プロはもっと、できるのでは

 優氏 そうですね。技術的には、まだいけるでしょう。ただ、本人のモチベーションが上がらなければ、続けていても難しい。確かにギリギリに予選を通過しても生活はできますが、藍に求められているものはそこじゃない。やはり、プレーを通じて多くの人に感動を与えることで、それが宿命ですから。やはり、そこへのモチベーションが薄れたのなら、引退の時期だと考えます。

 --これまで「引退をしたい」と言ったことは

 優氏 いや、1度もなかったです。

 --たくさんケンカもしたとか

 優氏 確かによくケンカもしました。なかなかきかん坊ですし、私の言っていることが正しいのに、「やらない」と言ったこともありました。親と子、コーチと選手の関係は難しい。ただ、肝心なことは受け入れてくれました。小さいころから、いい時も苦しい時も一緒に歩んできましたし、いいゴルフ人生だったと思います。

 --藍さんは4歳からゴルフを始めました。世界一の選手になる予感はありましたか

 優氏 なかったです。米女子ツアーは難しくてレベルが高い。最初、タートルベイでの試合を見た時、「夢懸けて 大海へい出し 帆掛け舟 タートルベイに 荒波は待つ」という歌を送りました。藍は帆掛け舟のような小さな存在で、世界に出ることは大変なことでした。世界一になる想像はできませんでした。

 --あの小さな体で、世界ランク1位になれた理由は

 優氏 やはり、パットがずば抜けてうまかった。ドライバーショットで20ヤード置いていかれても、グリーン上で勝負になりました。ただ、パットの状態が下向きになって、なかなか苦しくはなりましたが。

 --引退した後、2人で何をしたいですか

 優氏 海外の試合に行っても、ほとんどゴルフ場にしか行っていない。これからは、いろんな所を案内してもらいます。親孝行をしてもらいましょう。

 --残念な気持ちは

 優氏 一切ないですね。

 --藍プロは「4、5年前からモチベーションがなくなった」と言っていた。感じてはいましたか。

 優氏 そうですね。「苦しいだろうな、つらいだろうな」とは思っていました。ただ、そういうことに関しての相談はありませんでした。パッティングの状態については、話して改善はしていきましたけど。

 --「イップスのようになった」と言っていましたが

 優氏 今は、もう大丈夫です。特に今季はいい状態。クロスハンドにして、イメージをガラリと変えたことで体が動きやすくなりました。その上で細かいところを話し合っています。

 --では今季、勝てる可能性が

 優氏 そうなってくれると、ありがたいですね。

 --藍プロが引退を決意して、(次男の)優作プロが2勝しました

 優氏 優作も「自分が頑張らなければ」と思ったでしょう。ゴルフには流れがありますし、そのツキが回ってきたのもあります。このタイミングで、それが来たのは幸せなことです。

 --藍さんとの一番の思い出は

 優氏 たくさんありますが、地元沖縄のダイキンオーキッド(04年)で勝ったことですね。優作がキャディーをして、最終日の翌日に(長男の)聖志が結婚を控えていました。非常に忙しい中で勝てた。家族で大きなプレゼントをもらった思いでした。

 --今後、藍さんにやってもらいたいことは

 優氏 日本も世界も、ゴルフに関するメンタルの科学的な分析がまだまだ遅れていると思います。なので、藍には自分のスランプを通じて学んだことを生かして、貢献してほしいと思っています。そうしたトレーナーとして、選手を助けることもいいと思います。

 --ゴルフの指導者として頑張ってほしいですか

 優氏 そうですね。あと、藍がここまで来られたのは、たくさんのスポンサーが応援してくれ、経済的な心配なくツアーを回れました。本当にありがたいことでした。ファンの方々にも多くの声援をいただき、支えてもらいました。そして、メディアの方々がそれを取り上げてくださり、ゴルフの人気が高まりました。本当に周囲のおかげでここまで来られました。この3点はお伝えしたいです。

 --「ゴルファーの前に人格者であれ」と教えられてきました

 優氏 そうですね。ゴルファーだから偉いのではありません。1人1人に人格者として接することこそ大事です。ゴルフは、人格を高める道具に過ぎませんから。

 --今日の会見を見て

 優氏 心配していましたが、娘ながら、よく落ち着いてやっていました。プロになりたての頃は、質問の受け答えについても指導していましたが、今日は「自然体で自分の言葉で話しなさい」とだけ言いました。非常に冷静な対応ができていたと思います。