詰め掛けた約300人の報道陣を前に、5年ほど前から引退を考えていたことも明かした。米ツアーで4シーズン連続優勝を達成した12年。選手としてピークを迎えている感覚がある一方、悲願のメジャー制覇に届かない。「一番調子が良くて自信がある時にメジャーに勝てないなら、どうすればいいのか」。自分を見失った。模索する中で、最大の武器だったパットが「イップスみたいになってしまった」と振り返る。

 悩み抜いた末に決めたのは昨夏。それを境に、モチベーションも再び燃え上がってきた。当面は6月8日開幕のサントリー・レディース(兵庫)を「(国内での)ひと区切り」とし、その後は米ツアーに戻ってメジャー最終戦となる9月エビアン選手権までに節目の米10勝目を目指す。最後のあいさつで涙ぐむ場面はあったが「これで終わりという気持ちではない」。国民的ヒロイン宮里藍のストーリーには、まだ続きがある。【亀山泰宏】

 ◆宮里藍(みやざと・あい)1985年(昭60)6月19日、沖縄・東村生まれ。父優氏の指導で4歳からゴルフを始める。宮城・東北高3年の03年にアマとして30年ぶりにプロツアーを制し、その後プロ転向。06年から米ツアーに本格参戦し、09年初優勝。10年には日本人米ツアー最多となる年間5勝。米ツアー9勝、国内15勝。155センチ、52キロ。