勝みなみ(19=鹿児島高卒)がついにプロになった。8位スタートからパープレーでまとめ、通算5アンダー283の9位で合格した。高校入学直後の14年4月、KKT杯バンテリンレディースでツアー史上最年少優勝しながらプロ転向申請を見送り。約3年3カ月経験を積んで一発合格した。「宮里藍さんのように、世界一愛されるプレーヤーになりたい」。涙で“ポスト藍”を目指すことを誓った。通算2アンダー、19位タイまでの22人が合格した。

 プロになった。勝は「世界一、いろんな方に愛されるプレーヤーになりたい」と言った。理想像がある。今季限りで引退する宮里藍。「一番理想に近い。引退表明の時…ダメだ…泣きそう…『次は私が』と…」。涙で言葉が詰まった。「自分は藍さんになれないけど、藍さんに近い、藍さんと違うプレーヤーになりたい」。ポスト藍が目標だ。

 5月29日、宮里の引退会見を母久美さんと一緒にテレビで見た。こぼした言葉が「私はいつ引退しようか」-。まだプロにもなっていない18歳が、憧れ、目指す人の発信するメッセージに触れ、自分はどうあるべきかを真剣に考えた。

 最終日は4バーディー、4ボギーのパープレー。パットに悩み、テスト直前からスタンスを極端に狭めたが、入らない。おかげでショットまで乱れたが、9位と踏ん張った。「本当につらかった。こういう経験ができて良かったです」。ツアー競技と違う、ゴルフ人生をかけた戦いを“受かって当然”の立場で切り抜けた。

 ツアー優勝でプロ転向できた可能性が高い3年3カ月前、アマチュアを続けることを選んだ。「それは本当に良かったと思っています」。日本ゴルフ界で誰も経験したことのない時間を過ごした19歳が、偉大なアイドルをイメージして、プロ人生を歩み出す。【加藤裕一】

 ◆勝(かつ)みなみ 1998年(平10)7月1日、鹿児島市生まれ。名前は人気漫画「タッチ」のヒロイン浅倉南から。ゴルフは6歳で始めた。14年に日本ジュニア優勝、15年に日本女子アマ優勝、日本女子オープンローアマ獲得。157センチ、56キロ。