レギュラーツアー最終戦で石川遼(25=CASIO)が1イーグル、5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーで今季自己ベスト66をマークし、首位と5打差の18位発進した。直近10試合で9度の予選落ちなど不調にあえぎ、下部ツアー入れ替え戦に回ることが濃厚となる中、まずまずのスタートを切った。

 石川は貪欲だった。2番でダブルボギーが先行も5番のバーディー、7番は10メートルを沈めて取り返す。肝は直後の8番。「長いパットを入れた次のホール。大事にいきたい気持ちもある中、ドライバーでいいショットが打てた。ああいうところで自分のメンタル的な部分からブレーキをかけてしまうような精神状態を脱却できた」とうなずいた。

 公傷制度の適用を受けて臨んだ今季は19試合で12度の予選落ち。苦しむ時間が続き気付けばハードルを下げていた。「80点で満足している感じだった」。スコアを考えず、目の前の一打に100点以上を求めた。15番パー5では残り223ヤードから4番アイアンで2・5メートルに2オンしてイーグル。グリーンの傾斜も利用した巧みなショットに「110点をあげていい」と、ようやく笑みがこぼれた。

 米国での蓄積を感じさせる瞬間もある。開幕前日、パット練習場にいた石川にツアー通算2勝ケビン・ストリールマン(米国)らを指導するマリウス・フィルマルター氏が歩み寄った。「ここ数年、気にかけてくれている」という相手と英語を駆使した1対1のやりとり。そこで手応えを得たクロスハンドのパットも、好スコアの一因だった。人とのつながり、磨かれたコミュニケーション能力は、スポット参戦では得られない。この地に軸足を置いて戦ってきた証しといえる。

 今大会で来季のシード獲得を決めるには2位以上に入るしかない。バーディー合戦に食らいつき、4日間プレーすることが入れ替え戦にもつながっていく。「明日、こういう風になればいいというのは持たずに、一打一打、自分ができる100点以上のものにトライしていきたい」と表情を引き締めた。【亀山泰宏】