昨年プロテストに合格した川岸史果(22=加賀電子)が念願のツアー初優勝を飾った。首位と2打差の7位で出ると3~8番まで6連続バーディーを含む計8バーディーを奪い、ボギーなしの自己ベスト64をマーク。通算13アンダー203でツアー初制覇を成し遂げ、怪物といわれた男子ツアー6勝の父川岸良兼(50)の次女として史上初の父娘ツアーVも達成した。

 大物感を漂わせる逆転劇を演じた。首位と2打差の7位で迎えた最終日。川岸は「ロングホールでバーディーを取るのが生命線」との言葉通り、3番パー5で快進撃が始まった。グリーン奥カラー、ピンまで7ヤードの位置からの第4打。パターでチップインバーディーを奪うと4~8番まで1~3メートルのパットをねじ込んで6連続バーディーを奪うとガッツポーズ。力強いゴルフでコースを席巻するプロ初優勝だった。

 昨年12月には古傷の右足遊離軟骨を手術し、リハビリしながら迎えた今季は開幕戦のダイキン・オーキッド・レディースでいきなり2位に入賞した。以後、10位以内に9回入り、うち5位以内が6回、3位以内も4回。あと1歩…を何度も経験しての初制覇に「勝ち切れていなかった。ほっとした」と安堵(あんど)の笑み。昨年、プロテスト合格するまで3度も受験に失敗。同年代の鈴木愛、藤田光里、松森彩夏の優勝を横目に「悔しい」と思いながら改造してきたスイングやパット練習の積み重ねがルーキーイヤーに結実した。

 今季からシニアツアーに出場中の父良兼と初優勝を競い合っていた。男女両ツアーをまたぐ親子優勝は史上初の快挙だ。「同じルーキーイヤーで、私が先に勝つことができて良かった」と笑顔。その上で「父は1勝しただけではプロと認めないと言っていたので先に2勝目をします」と目の色を変えた。獲得賞金も7000万円を超え、賞金ランク5位に浮上。来月には来季の米ツアー出場権のためにQTも受験する。「米国に行く前に優勝できてよかった」。元祖・怪物の娘が大きな1歩を踏みだした。

 ◆親子ツアーV 日本では通算28勝の杉原輝雄の子、敏一が91年関西オープンで優勝。73年ツアー制施行前の52年日本プロを制した井上清次の子、幸一が78年中部オープン、84年東北クラシックと2勝している。「父と娘」のケースは今回が初めて。