米女子ツアーを主戦場とする畑岡奈紗(18=森ビル)がプロ初優勝に王手をかけた。首位と6打差となる2オーバーの49位で出てボギーなし、8バーディーの64の好スコアをマーク。永峰咲希(22)とともに通算6アンダー138で首位に浮上した。

 力強い猛チャージだった。前夜の雨でボールが止まりやすくなったグリーン。畑岡は「どれだけパターを決められるかが勝負」と集中力を研ぎ澄ませた。第2日は4年間愛用したマレット型のパターを握り、2度も約6メートルのロングパットをねじ込み、計8バーディーを奪取。「今日はピンチというピンチがなかったです」。自信を取り戻した笑みがはじけた。

 約1年前、日本女子オープンでアマチュアながら史上最年少の17歳で優勝。すぐにプロ転向し、今季は米ツアーに参戦した。ところがショットの不調で出場18試合のうち11試合で予選落ち。「ショットがぶれ、前なら見なかった池やOBばかり目に入るようになっていた」と明かす。自信喪失気味の頃、米ツアーで一緒だった宮里藍からの助言も思い出した。

 「足で体重を感じるとか、頭の位置など1つのテーマを試合で決めてやった方がいいよ、と」。7月下旬に一時帰国後、国内ツアー2試合の出場と地元での再調整で、ショットの感触が戻った。前週のメジャー、エビアン選手権で宮里が現役引退し「本当に良い経験をさせてもらいました」と感謝の言葉を口にした。

 優勝すれば宮里の持つ臨時登録(アマなど)も含むツアー最年少2勝目記録(18歳262日)を18歳254日で更新する。何より1年シードの確保で、来季の米ツアー出場権を懸けた予選会にも出場しやすくなる。「ここで勝てば状況が変わる。(来季も)米国でやりたい気持ちはあります」。この好機を逃すつもりはない。【藤中栄二】