残り3試合と佳境を迎える賞金王争いが今大会で大きく動く可能性も出てきた。

 1オーバーの49位から出た賞金ランクトップの小平智(28=Admiral)が、9ホールを終えたところで体調不良によりまさかの棄権。「昨日からのどが痛い。風邪だと思う。今も微熱がある。しっかり治して、気持ちを切り替えて、また頑張ります」と話し、足早に引き揚げた。

 大きなチャンス到来となるのが賞金ランク3位のチャン・キム(27=米国)。1イーグル、2バーディー、1ボギーの68で回り、通算7アンダー首位と2打差の4位と優勝も狙える位置につけて決勝ラウンドへ進んだ。上がり2ホールは派手に決めた。17番でチップインバーディーを奪うと、最終18番も44ヤードをチップインイーグル。日本ツアーNO・1の飛ばし屋は、米ツアーでも屈指の飛距離を誇る首位ブルックス・ケプカ(27=米国)との同組競演を熱望しつつ「とても残念。彼は数週間、調子が良かった」と、棄権したライバル小平を気遣っていた。

 賞金ランク2位の宮里優作(37=フリー)は最終18番で5メートルのバーディーパットを沈め、カットラインギリギリとなる通算4オーバーの58位で予選を通過した。その18番は左の林へ打ち込んだ第2打がギャラリーに当たってグリーンを狙える手前のラフへ戻ってきた。「お客さんに当たってしまって…」と申し訳なさそうだったが、当たっていなければバーディーフィニッシュはほぼ不可能だった。

 松山英樹(25)、尾崎将司(70)との最注目組で回った予選ラウンドは風邪の症状に悩まされ「本当に疲れた。パターが全然入らない。2日で3バーディーじゃ戦えない。何もできなかった2日間」と嘆く内容。それだけ苦しみながら生き残り、賞金を上積みする資格を得た。この粘りが賞金王レースで生きてくる可能性も大いにある。