木下裕太(32=フリー)が会心のプレーをみせた。

 予選ラウンドはティーグラウンドを前に出すなど8000ヤードを切るセッティングだったが、初めてツアー史上最長8007ヤードで行われた第3ラウンドはスコアを崩す選手が続出。全体の平均スコアが76・913を記録する中、4バーディー、1ボギーの69をマーク。「ピンチで耐えて、チャンスを取れた。全部かみ合った感じ。これ以上ないです。できすぎです」と充実感があふれた。

 ラウンド中は「必死だったので(リーダーボードを)見る余裕もなかった」。アンダーパーで回ったのが大堀裕次郎と2人しかいなかったこと、60台は木下ただ1人だったこと、通算1オーバーの217で59位から6位に急浮上したこと、全てが驚きだった。「(難しかった分)63くらいで回った気分ですね。難しかったけど、楽しかった。明日は、もうやりたくないですけど」と本音もこぼれた。

 16番で唯一のボギーをたたいた直後、17番では15メートルのバーディーパットがカップに消えた。2メートルほどのパーパットをねじ込むなどピンチをしのいだ場面は「8回くらいあったと思います」と記憶をたどる。「結構メンタルが弱いので、スコアを気にすると、もったいないミスをすることがあった。この我慢するセッティングなら、全部パーを取っていれば上がっていくだろう、と。スコアのこととかは何も考えず、集中して打てた」。雑念に惑わされず、難コースに立ち向かった結果だった。

 「順位を気にせず、今日と同じように1打1打、1ホール1ホール、やるべきことだけに集中したい」。予想外の好位置で迎える最終日も真っすぐな姿勢を貫いていく。