香妻陣一朗(23=フリー)が、記録ずくめのラウンドで初優勝圏内に急浮上した。

 8打差55位から出て12バーディー、ノーボギーの「60」をマーク。トーナメントコースレコード(63)を更新し、18ホール最多アンダーパー(12アンダー)、最多バーディー数のツアー記録に並ぶ圧巻のプレーだった。「昨日上がった時点では、予選落ちかなとも思っていた。予選を(ギリギリで)通ったので、これ以上落ちることはないと思ってガンガンいった。ほぼ思い通りに打てたので、そんなにピンチもなかった」と振り返った。

 インスタートから上がり5ホール連続バーディーで締めた。極端な打ち下ろしで1オン可能な330ヤードの9番パー4は「刻もうかなと思ってましたけど、いい流れで来ていたし、いっちゃおうかな、と」。今週新しくバッグに入れたダンロップのドライバーを握ってバーディーを奪い、勢い十分でホールアウトした。

 スタート前、かわいがってもらっている谷口徹と顔を合わせるなり「おう、ビッグマウス」といじられた。すかさず「最近は謙虚にやらせていただいてます」と返した23歳は、石川遼(26)、山岡成稔(25)と回る自身2度目の最終日最終組にも力みはない。「自分に期待しすぎず、緊張感を楽しめたらいい。(上位に)誰がいても、やることは一緒。強敵ですけど、意識することはないかなと思います」と初優勝への闘志は内に秘めた。

 

 ◆香妻陣一朗の記録

 ◇トーナメントコース記録「60」 大田直己(14年第3R)、宮本勝昌(14年第2R、17年最終R)、川満歩(15年第2R)、プラヤド・マークセン(15年最終R)、藤田寛之(16年第3R)、時松隆光(16年第3R)、任成宰(17年第3R)が出した「63」を更新

 ◇18ホール最多アンダーパー「12アンダー」 倉本昌弘(03年アコム・インターナショナル第1R)、石川遼(10年中日クラウンズ最終R)に並ぶ

 ◇18ホール最多バーディー「12バーディー」 友利勝良(88年第一不動産杯第3R)、Z・モウ(01年ミズノ・オープン第1R)、倉本昌弘(03年アコム・インターナショナル第1R)、石川遼(10年中日クラウンズ最終R)に並ぶ