2打差5位から出た秋吉翔太(27=ホームテック)が9バーディー、1ボギーの64で回り、通算20アンダーの268で5月のミズノ・オープン以来となるツアー通算2勝目を挙げた。

 優勝会見では「言葉は悪いかもしれませんが“因縁”があったので。それをちょっと晴らせたのかなという感じですね」と言った。

 思い起こしたのは自身の昨季レギュラーツアー初戦でもあった昨年大会の第3日、15番。プリファードライが適用され、球を拾い上げて1クラブレングス以内にプレースできる状況だった。この時、秋吉がいったん置いた球(インプレーの球)を再び動かしてプレーした、との指摘が同伴競技者からあった。当時の秋吉は「自分では(いったん)球を置いたつもりはなかった」と話したものの、映像がなく確認はできなかった。スコア提出後にギャラリーの証言などが出た場合、過少申告で失格の恐れもある。「明日、ドキドキしながら回るのは嫌だった」と2罰打を受け入れた。2罰打がなければ、首位で最終日を迎えていた。

 優勝したこの日のプレーを「運が良かった」と振り返る。17番パー3ではティーショットをダフり、思わず「ダメだ」とつぶやいた。ボールは何とかギリギリで池を越えてラフに残り、しっかり寄せてパーセーブ。18番パー5も1度はバンカーに入ったティーショットがフェアウエーに転がり出た。2番アイアンで2オンに成功して2パットのバーディー。1打差で山岡成稔(25)に競り勝った。「最後の2ホールはホントに運があった」と繰り返す。

 1年前の苦い記憶も昨季の初シード入り、今季の初優勝、そしてこの2勝目があるから笑い話にできる。潔く、自らの力で道を切り開いてきた男に運も味方した。