110位から出た松山英樹(26=LEXUS)は1イーグル、2バーディー、1ボギー、1トリプルボギーの71で回り、通算4オーバーの146で80位となり、カットラインに1打及ばず決勝ラウンドへ進めなかった。メジャーでの予選落ちは16年全英オープン以来8試合ぶりとなる。

 前日50%にとどまったパーオン率は72%に上昇。打ち続けたバーディーパットが、わずかな差でなかなかカップに消えてくれない。もどかしさをのぞかせながら、辛抱強くチャンスをつくり続けた。「久々に2日連続でいい感覚が出た」。前日終盤から手応えを感じていたショットが、後半14番パー5でビッグプレーを生む。6メートルに2オンしてイーグルを奪取。16番パー3も取って通算1オーバーまで伸ばし、上位をうかがう位置にまで浮上した。

 落とし穴は最終18番。ユーティリティーのティーショットを左ラフに入れ「左から風が来ていたんで、センターくらいに乗せてバーディーパットが打てればいいかなと思った」という第2打が、左に広がるOBゾーンへ飛び込んだ。「(ラフは)深くないし、いいライでした。あそこからレイアップする選手はいないと思う。前の土手に当たったんだと思う。自分でもまだ(原因が)分かってないんで…」。打ち直しをグリーン左まで運んだが、最後はダブルボギーパットがカップに蹴られ、一気に予選通過圏外まで転がり落ちた。

 前週の試合に出場するなど、全米プロを除けば、違うルーティンで臨んだメジャー。スコットランド・オープン出場前に2ラウンドするなど、舞台となったカーヌスティ・リンクスで事前に回ったホール数は100に迫る。メジャーとなれば、いち早く会場入りして備える選手が少なくないとはいえ、松山の“量”は際立つ。2月に左手親指の付け根を痛めて以降、控える時期もあった練習場での打ち込みにも熱が入った。「この1球でいいショットが出なかったら…」。そんな言葉をつぶやきながら、1打に神経を研ぎ澄ませてきた。

 今大会の結果にはつながらなくても、勝つために費やしてきた時間は決して無駄にならない。「(練習場で)いい感触が出ても試合で良くない、というのが続いていた。今日は久々にそういうのもなく、最後のセカンドだけミスりましたけど、それ以外はいい感じでプレーできた。それを今度の試合に活かしていけるような練習をしていきたい」。連覇がかかる次戦ブリヂストン招待(オハイオ州)の後には、今季メジャー最終戦の全米プロ選手権(ミズーリ州)が控える。愚直なスタイルが実を結ぶ瞬間は、きっとやってくるはずだ。【亀山泰宏】