大江香織(28=アルパイン)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算10アンダーの206で16年のTポイント・レディース以来となるツアー通算3勝目を挙げた。

1打差を追う展開で7番までパーを並べた。「過去の優勝争いの傾向で、最初にバーディーがポンポンと来てから崩してしまうことがあった。前半は静かに、チャンスが来たら狙っていこうと思っていました」。我慢は想定内だった。8番で6メートルを流し込んで初めてスコアを動かすと、9番は170ヤードから5番ユーティリティーで2メートルにつけて連続バーディー。14番のバーディーで単独トップに立ち「そこからちょっと(優勝を)意識しました」と振り返る。

山形に生まれ、宮城・東北高で腕を磨いた。「試合中にあまり“特別”とか言ってしまうと緊張するので…」という理由で明かしていなかったが、ゴルフ人生の転機ともいえる大会だった。05年大会で宮里藍がアマチュア優勝。当時中学生だった大江はテレビで歴史的快挙を目撃し「衝撃を受けました」。意識が変わった。「それまでは、言い方は悪いですけど、連れていかれた練習場で『100球打ったら帰っていいよ』と言われて、どうやって100球飽きずに打って帰ろうか、と考えていたくらい。藍先輩の優勝を見て、180度変わりましたね」。練習量は倍以上に増え、ほどなくして「一番尊敬する方」の後を追うように東北高へ進むことも決めた。

2年ぶりの優勝にも「そんなにうまくない。(今季中に)もう1回勝つのは難しいと思うので…」と謙虚に話す。試合中はハウスキャディーの仕事1つ1つに「ありがとうございます」と必ずお礼を返した。この大会で前回ハウスキャディーを起用した4年前も同じ阿部たき子さんが担当。大江のキャディーを務めた時の丁寧な対応を覚えていた阿部さんの方から志願する形で“コンビ再結成”が決まったという。

冷静で控えめ、物腰柔らかな28歳。09年にプロデビューを果たした一戦での優勝に「夢のようです。信じられない気持ちでいっぱい」と喜びがあふれた。