男子ゴルフのアジア・パシフィック・アマチュア選手権で優勝し、来年のマスターズと全英オープンの出場権を獲得した金谷拓実(20=宮城・東北福祉大2年)が10日、日本オープン(11日開幕、横浜CC)の会場で最終調整を行った。

18ホールを回り終えると、開口一番「去年悔しい思いをしたので、今年はリベンジしたいです」と気合十分。昨年大会は90年ぶりのアマチュア優勝にあと1歩と迫る2位だった。鮮烈な印象を残す大健闘だったが「今までにないプレッシャーを感じて、すごく短いパットを外したり、自分らしくないプレーが出てしまいました。優勝できるチャンスがあったのに、自分のミスで負けてしまった」。本人の中では、苦い記憶として刻み付けられている。

「アジア-」を制すことができたのも、その悔しい経験があったからこそ。冬場は1日5食で生活し、トレーニングにも精力的に取り組んだ。体重は8キロ増えて現在が73キロ。体づくりだけでなく、シャフトだけ、逆さまにしてヘッド側を持ったドライバー、通常のグリップで握るドライバーと3段階の素振りでヘッドを走らせる感覚を養い、飛距離も10ヤードほど伸びた。得意とするパターも、カップの周りにティーをさして12球連続でカップインさせる練習を繰り返し、勝負強さを磨いてきた。

練習場で顔を合わせ、お祝いの言葉を贈った石川遼(27)は金谷について「優勝候補の1人」と表現。夢のメジャー切符を勝ち取り、周囲の祝福にうれしさはこみ上げてくるが「ここがゴールではないので、また一から頑張りたいです」と言い切る。注目のアマチュアは浮つくことなく、1年ぶりのナショナルオープンに挑む。