64をマークした小平智(29)が石川遼(27)、黄重坤(26=韓国)とのプレーオフを制し今季初Vでツアー通算7勝目。13年ツアー選手権、15年日本オープンに続く3つ目の日本タイトルを獲得した。

大会初の三つどもえの激戦を制し、小平が頂点を極めた。勝利が決まると王者に妻の古閑美保(36)が抱きつき号泣した。16年大会は1打届かず2位、昨年は宮里優作に逆転で賞金王をさらわれた。因縁の大会を制し、2人で喜びを分かち合った。小平は「米国で優勝してからつらかったが、良くなることを信じて練習してきた成果が最後に出せた」。妻は「他の試合より大きな悔しい思いが詰まっている試合だから」と涙の理由を話した。

自宅を出る朝、母裕子さん(60)に「優勝か80をたたいてくる」と宣言した通り、攻めのゴルフを貫いた。4番のチップインバーディーで勢いに乗り6番でもイーグル。後半も2つのバーディーでトップに並んだ。石川、黄とのプレーオフにもつれ込んだが、2人がパーパットを外した直後、約1・5メートルの難しいパーパットを冷静に読み切った。

4月に米ツアーのRBCヘリテージを制したが、その後、さらなる高みを目指し試行錯誤を重ね、自身のゴルフを見失った。昨季、初V後は米ツアー12試合で8度の予選落ち。心が折れそうになった。救ってくれたのは10月、食事中にともに米国で戦う大溝雅教キャディーの「もっと適当にやれ」の言葉。余計なものをそぎ落とし「シンプルに考えるようになった」とらしさを取り戻し復活した。

19年も米ツアーに参戦する。「慢心することなく体作り練習をハードにして1年米国で戦えるようにしたい」。その目は早くも来季を見据える。【松末守司】