20歳の渋野が、快挙をやってのけた。岡本綾子、福嶋晃子、宮里藍さんらが跳ね返されたメジャーの壁を、海外初試合で突破した。

天真らんまん。第2日を終えた後、今後も海外で活躍する願望を問われ、「全くないです。今回出ても全くない。日本がいいって思います。あはは…。すみません」と返している。2年前に引退した宮里さんが、高校時代から「世界一になる。そのために米女子ツアーでプレーしたい」と言っていたのとは対照的だ。

宮里さんは、言葉通りに海を渡り、世界ランキング1位になった。それでも、メジャー制覇を果たせなかったことで、モチベーションが低下。引退会見では、抱えていた苦しみを明かした。そんな宮里さんは、今年5月、自身がアンバサダーを務めたワールド・サロンパス・カップでプロ初勝利を飾った渋野について「プレー中も笑顔が多くて、最近、あんまりいないタイプの子。将来性のある選手の1人かなと感じました。楽しみですね」と語っていた。確かに宮里さんもプレー中に笑みを浮かべていたが、渋野のようにギャラリーとグータッチをすることはなかった。

身体能力に恵まれ、外国勢に負けない飛距離、スピン力を有し、楽しそうにプレーするニュータイプのヒロイン誕生。世界的には新星が、いきなりメジャーで優勝する例はあったが、日本人では初めて。渋野を含めた「黄金時代」の台頭しかり、日本女子ゴルフ界は、新たな時代に突入した。ただ、彼女たちの活躍も、子供の頃に見た宮里さんらが世界に挑む姿が、礎になっている。

そして、歴史の1ページは刻まれた。今後は「日向子にできるなら自分も」と、世界一を本気で目指す選手が続出することだろう。【元ゴルフ担当・柳田通斉】