首位から出た石川遼(27=CASIO)が、男子ツアーでは17年の宮里優作(中日クラウン→日本プロ選手権)以来、自身では初となる2大会連続優勝を果たした。5バーディー、1ボギーで回り、通算20アンダーでツアー通算16勝目を挙げた。

出だしの1番パー4から堂々、主役を張った。第2打がグリーン右ラフにいったが、第3打で直接カップインで勢いをつくった。3番パー5で5メートルのバーディーパットを沈めると5番パー4では、第3打をグリーンエッジから転がして再びチップインバーディー。3つスコアを伸ばして迎えた後半もスコアを1つ伸ばした。

今年は、国内開幕戦(4月)だった「東建ホーメメイトカップ」を腰痛の影響で欠場。2週間後の「中日クラウン」で復帰にこぎつけたが、第2日のラウンドでプロに転向した08年以降で初めて棄権するなど苦しんだ。そこから、休養を挟んだあと、週3回のトレーニングとケアを重ね、肩回り、お尻回りは、目に見えて盛り上がりパワーアップ。「負荷をかけたトレーニングをやるようになった。腹筋とお尻と背筋のバランスが大事だと思ったのでそこを意識してやった」と逆境を力にかえ、7月の日本プロ選手権で3季ぶりに優勝した。

技術面では新たな一面をみせた。世界に再び戻るため、模索し続けたドライバーにあえてこだわらず、アイアンショットに活路を見いだすことを決めた。「飛距離を伸ばすより、飛んで曲げない人とグリーンに行ったら同じくらいの距離にいるというところで戦う」と心に決め、精度を高めてきた。第3ラウンドではパーオン率が87・04%で出場選手中1位。自身の生きていく道を見定め、完全復活につなげた。

賞金3000万円を手にし、11年9月のアジア・パシフィックパナソニック・オープン以来の賞金ランキング1位に躍り出た。大会前は、20年東京五輪につながるワールドランキングに対し、「まだ自分としてはランキングの順位は気にしていない。日本プロの優勝したのも五輪への2枠へのステップにはなっているけど、まだステップが足りない」と話したが、15年以来の年間2勝を挙げ、ランキングも上がるだけに、五輪出場への可能性はさらに広がった。ウエアも今大会から新調。ハニカミ王子の第2章が、ここから始まる。