女子プロゴルファー渋野日向子(21=RSK山陽放送)が飲料メーカー大手のサントリー(本社大阪市)と新たに所属契約を結ぶことが26日、分かった。年明けにも正式発表の見込み。8月のAIG全英女子オープンで日本人選手として樋口久子以来、42年ぶりとなるメジャー優勝を飾った国民的ヒロインを、宮里藍さんを手厚くサポートする同社が“ポスト藍”として射止めた。渋野は来年2月20日開幕の米ツアー・ホンダLPGAタイランド(タイ)から“サントリーの渋野”で出場する。

  ◇    ◇    ◇

メジャー制覇、賞金ランク2位と大ブレークし、国民的ヒロインとなった渋野の新たな所属先が、サントリーに決まった。

関係者の話を総合すると、海外で“スマイル・シンデレラ”と呼ばれ笑顔、明るさ、清潔さにあふれる渋野には、8月の全英優勝後から、スポンサー契約を含めて職種を問わず、大手企業を中心に20社以上からオファーが殺到。激しい争奪戦が繰り広げられてきた。

この日、サントリー側は、日刊スポーツの取材に「その件に関しては、現時点で何もお答えできません」としたが、最も大きな看板である所属先はこのほど、サントリーで決着した。

サントリーは伝統的に「芸術、文化、スポーツ」などを通じての社会貢献に積極的な企業で知られる。ゴルフでは、男子でもツアー制度が始まった73年から07年まで、サントリーオープンを開催。女子では90年から始まったサントリーレディースが今年で30回を迎えるなど、業界きっての優良スポンサーだ。

今回の契約にあたっては破格の待遇が提示されたのは間違いないが、渋野側にとって大きな決め手になったのは、ゴルフ界の“元祖国民的ヒロイン”宮里藍さんへの手厚いサポートぶりにあるのかもしれない。

サントリーは宮里さんが03年にアマチュア優勝を飾り、同年秋にプロ転向した直後に所属契約を結んだ。宮里さんは、同社主催のサントリーレディースに米ツアー参戦の06年以降、17年の“引退試合”まで09、11、15年と計4度しか出場していない。

同社にすれば、看板プロだけに、出場を強く希望しつつも強要はせず。宮里さんの意向を容認した。17年限りで現役引退しても「これまで同様にサポートしたい」と契約を更新している。18年から同大会アンバサダーに据え、大会名を「宮里藍サントリーレディース」と改名し、続けている。

そんなサントリーにとって、宮里さんが求め続けた「メジャー優勝」を手にした渋野は、最高の“ポスト宮里藍”だ。

渋野側は、これまで所属先として支えてくれた地元岡山の放送局「RSK山陽放送」とは、来季からスポンサー契約として契約する。ウエア等にワッペンなどをつけ、その存在をアピールする。そして「サントリーの渋野」は、20年初戦となる2月の米ツアー競技ホンダLPGAタイランドでデビューすることになりそうだ。

◆プロゴルフ界の所属と契約金 男子で世界ランク21位松山英樹のLEXUS、女子で17年限りでツアープロを引退した元世界ランク1位宮里藍さんのサントリーで、ともに年間1億円とされる。全英を制した渋野は、この2人と同等の契約金が用意される見通し。今季プロ初勝利を挙げ、年明けから米ツアーに参戦する河本結は今年7月に推定5000万円でリコーと契約。国内ツアーで賞金シード権を持つプロで、1500万~3000万円が用意されることが多い。所属の他にも複数企業とスポンサー契約し、帽子やウエアに企業名を付けることも通例で、その際にはそれぞれの企業から契約金が用意される。