ゴルフの米男子ツアー、マスターズで松山英樹(29=LEXUS)が日本人初のメジャー制覇を成し遂げた。

世界中のゴルフファンが注目し、圧倒的な歴史と伝統を誇るマスターズ。その価値は特別で、特に米国では、大きく報じられている。

そんな中、1つのシーンが注目されている。

米ESPNはツイッターで、主役の陰にかくれていたものの、この偉業達成に絶対に欠くことのできなかった、ある人物にスポットライトを当てている。

松山が優勝を決めた直後の早藤将太キャディーの振る舞い。最終18番ホールで手にしていた黄色いピンを、右手で持って、ホールに戻す。その直後、一連の流れで緑色の帽子をとって、コースに向かってお辞儀した。このシーンを「ショウタ・ハヤフジがコースに頭を下げた」などと、動画ともに取り上げ、ツイートしている。

日本選手はスポーツの中でも、自然と頭を下げて周囲や、仲間に感謝を示す振る舞いをする。

同じメジャーチャンピオン、全英女子オープンを制した渋野日向子も、最初のホールに入る際に、お辞儀をしていた。

サッカーの長友佑都に至っては、仲間にも浸透させ、ゴール後のパフォーマンスの1つにしていた。

早藤氏が、松山を勝たせてくれた名門コースに、お礼の気持ちを伝えたのか、拍手を送ってくれたパトロン(ギャラリー)に思いを伝えたかったのかどうかは、分からないが、胸を打つ、すがすがしいシーンだった。

実際に文化の違う海外でも、そう感じさせ、受け入れられているようだ。

松山の偉業は、日本人初という形で強調されがちだが、たとえ日本人初であってもなくても、ひそかにではあるが、支える人のこのような振る舞いにスポットライトが当たることも、誇らしくなってくる。

松山の明徳義塾高-東北福祉大の後輩でもある早藤氏は、松山の晴れ舞台、グリーンジャケット・セレモニー(優勝セレモニー)もグリーンの脇で、正座して真っ正面から見つめて、受け止めていた。

松山と、そしてマスターズという歴史ある大会、ゴルフそのものへの敬意をあらわし、正座で、背筋をピンと伸ばしているようにも見えた。

◆早藤将太(はやふじ・しょうた)1993年(平5)10月7日生まれ。明徳義塾高-東北福祉大と、高校大学ともに松山の後輩。アマチュア時代からジュニアの大会で実績を残す。プロとして中国ツアーなどで腕を磨いていた17年ごろからキャディーとして起用されるようになり、19年から専属キャディーに。