<男子ゴルフ:日本プロ日清カップ>◇2日目◇11日◇栃木・烏山城CC(7193ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 昨年に最年少の16歳でプロテストに合格し、今回がツアー初戦の稲森佑貴(17=グリーンゴルフ練習場)は、通算5オーバー149の91位で予選落ちした。2オーバーで出たスタートホールの1番パー5でバーディー。しかし「いけると思ったんですが、あの流れをうまくつなげていけなかった」と、その後はボギーを重ねてしまった。

 それでも稲森は「テレビの向こう側でしか見たことのない選手、特に池田勇太さんと回れて本当に良かった」と笑顔をみせた。プロテスト合格直後の新人戦で優勝し、今大会の出場権を得たが、その際に当時の日本プロゴルフ協会の松井会長から「日本プロでは誰と回りたい?

 好きな選手と組ませてあげよう」と“ごほうび”を提示された。

 稲森は「勇太さん」と即答した。「父からいろいろ話を聞いていて、池田勇太さんのプレーをぜひ見たかったんです」。今大会でキャディーを務めている父の兼隆さん(62)は、なんと池田と対戦経験があるのだ。

 00年9月29日、日刊アマ全日本大会最終日。兼隆さんと池田は、通算2アンダーで首位に並び、プレーオフに進んだ。当時14歳の池田が優勝すれば史上最年少優勝、同じく49歳の兼隆さんが優勝すれば史上最年長優勝という「最大年齢差対決」だった。兼隆さんは1ホール目で、ダブルボギーをたたいてしまい敗戦。「簡単に勝たせて、甘やかしちゃいけんと思ったけど、精いっぱいやったからね」とコメントしていた。

 稲森は、池田にほれこんだ兼隆さんから「勇太は本当にすごい選手だぞ」と聞かされて育ってきた。念願かなった同組での2ラウンドを振り返り「やはりショットやパットに思い切りがある。1打1打に自信がみなぎっていて、迷いがない。ああいうプレーができるようになりたいと思いました」とうなずいた。

 親子2代と対決した池田は「16歳でプロになるなんて大したもんだよな。まさか父ちゃんとやってたなんてなぁ」と言葉を弾ませた。プレーの合間には、稲森の地元鹿児島からも近い、熊本・玉名で行う合宿についても話して聞かせ、将来、合宿に稲森が参加する案まで浮上したという。

 石川遼の活躍がきっかけで、プロテストの受験年齢制限が18歳から16歳に引き下げられたのを機に、稲森は16歳にしてプロになることができた。池田に強くあこがれ、石川のおかげでプロへの道が開けた新世代の星が、国内メジャーという大舞台で貴重な経験を得た。