<女子ゴルフ:ヨコハマタイヤPRGRレディス杯>◇最終日◇23日◇高知・土佐CC(6364ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

 横峯さくら(22=エプソン)が、通算54ホール目の18番で50センチのウイニングパットを外して、今季初勝利を逃した。申智愛(19=韓国)に通算4アンダーで並ばれ、プレーオフに突入。そこでもチャンスを逃し、4ホール目で力尽きた。高知は明徳義塾高時代、母絹子さん(50)と2人暮らしで、現在のスイングの原点をつくった「第2の故郷」。勝ちたい気持ちが強かった分、悲劇的なV逸に涙を止められなかった。申は史上7人目となる日本ツアーデビュー戦優勝を果たした。

 雨の中、さくらの表情が凍り付いた。入れれば優勝だった50センチのボギーパットが、カップに蹴られた。天を仰ぎ、プレーオフへと向かったが、もう平常心ではいられなかった。1ホール目で1・5メートル、2ホール目も3メートルと、好調なショットで申より内側につけたが、決められなかった。

 残酷な敗戦。足早にクラブハウスに戻ると、関係者に「すみません。今日は何も話したくないんですけど…ダメですか?」と消え入りそうな声で訴えた。ロッカー室で約10分間泣き続けた。その後、気丈に姿を見せたが、目は潤んだまま。「自分のミスなので…。プレッシャーがかかったときに、パッティングがしっかり打てない。『まだまだ小心者だな』と思いました」。ここ数年、負けても涙を見せず、感情を抑えてきたが、今回だけはこらえきれなかった。今回だけは絶対に勝ちたかった。

 横峯は高校2年になる直前、「もっと練習がしたい」と明徳義塾の寮を出た。故郷の鹿児島から駆けつけた母絹子さんが安アパートを借り、デパートの総菜売り場でパートをしながら、朝夕の練習を支えてくれた。2人暮らしを始めた直後に、横峯は左足首外側の靱帯(じんたい)を断裂、手術を受けた。約2カ月間、患部をギプスで固定されたまま、練習場でイスに座って球を打ち続けた。連日連夜、母がボールをティーアップしてくれた。ギプスが取れた時、平均飛距離は約30ヤード増していた。大きなバックスイングから振り切っても下半身がぶれない、横峯のスイングの「原点」がここでつくられた。

 その思い出の高知で、史上初めて開催される女子ツアーにかけていた。自身の国内プロ100戦目でもあった。会場は部活動で毎週土曜日に訪れていたコース。「私たち親子にとって、高知は特別なんです。だから、さくらにどうしても、ここで勝たせたいんです。さくらも、そのつもりなんですよ」。この日も娘のプレーを見守った絹子さんの願いも届かなかった。

 高知県の「サクラ開花予想日」だったこの日、朝からの冷たい雨で、開花宣言は見送られた。次戦は4月3日開幕の米メジャー、クラフトナビスコ選手権。「自分の足りなさを受け止めて、気持ちを切り替えて頑張ります」。こみ上げる悔しさを闘志に変え、日本のさくらが米国に乗り込む。【大石健司】