米女子ゴルフツアー72勝のアニカ・ソレンスタム(37=スウェーデン)が、「第2の人生」に踏み出す。13日、サイベース・クラシック(15日開幕、米ニュージャージー州クリフトン)の会場で会見、今季限りで引退すると表明した。来春には再婚し、ゴルフ関連の事業に専念する。今季3勝して復活ムードの中、潔く進退を決断。メジャー10勝の女王は、女子ゴルフ界に数々の記録と大きな足跡を残して、惜しまれながらクラブを置く。

 ソレンスタムは晴れやかな表情で、今季限りの引退を表明した。母国スウェーデンをはじめ世界中のメディアが集まった会見で「ゴルフを愛しているので難しい決断だったが、正しい判断だと思う」ときっぱり言い切った。プロゴルファー、ジェリー・マギーの息子でフィアンセのマイク氏を伴って、来春の再婚もうれしそうに報告した。

 世界中を驚かせた。昨年は現女王オチョア(メキシコ)の活躍の陰で、背筋や首痛により低迷したが、今季は好調だ。37歳になり、飛距離よりも安定したショット、精度の高い小技を発揮する新たなスタイルで、先週のミケロブ・ウルトラ・オープンでは今季3勝目を挙げたばかりだった。

 女王復活の証明Vから一転、衝撃の報告。だが、本人は昨季の終わりに「競技人生はバックナイン(後半9ホール)に入っている」と話すなど、引退をほのめかしていた。会見では「人生にはもっと大事なことがあるかなと考えた」と胸中を明かした。来年以降は、欧米で展開してきたゴルフウエアなど「アニカ・ブランド」の事業に専念する。さらにゴルフ場の設計や昨年、フロリダ州オーランドの自宅近くに創設したゴルフアカデミーを拡大する計画だ。

 ゴルフを基盤にした実業家への華麗な転身、再婚と第2の人生に歩み出す。史上最多8度の賞金女王、メジャー10勝、03年の米男子ツアー挑戦など、女子ゴルフ界の歴史に名前を刻んだソレンスタムの早過ぎる引退を、惜しむ声も相次ぐ。親交のあるタイガー・ウッズは「寂しいが彼女の意思を尊重する」とコメントした。成績的にはやり残したこともほとんどない。不振のままでは終われないと、故障も乗り越えた。今季の復活劇が、女王の決断を早めたのかもしれない。