<米男子ゴルフ:全英オープン選手権>◇最終日◇20日◇英サウスポート・ロイヤル・バークデールGC(7173ヤード、パー70)◇賞金総額420万ポンド(約9億615万円)優勝75万ポンド(約1億6180万円)

 【サウスポート=大石健司】グレグ・ノーマン(53=オーストラリア)の奇跡の復活優勝はならなかった。15年ぶり3度目の優勝を目指し、2位に2打差の単独首位でスタートしたが、77と崩れて、通算9オーバーの289で3位タイに終わった。141年ぶりのメジャー最年長優勝記録更新は逃したが、ウッズ不在の大会を最後まで盛り上げた。

 拍手と歓声を浴びながら、53歳のノーマンが18番グリーンを後にした。3週間前に結婚したテニスの元トッププロ、クリス・エバート夫人(53)が目を潤ませて待っていた。ノーマンは歩み寄る新妻を抱きしめて、寂しげにほほ笑んだ。「もちろんがっかりしている。でも、ベストは尽くした。悔いはない。パドレイグ(ハリントン)は真の勝者だ。私は、顔を上げてここを出て行くよ」。

 最終日首位発進のメジャーで通算1勝7敗。悲運は唯一勝っているメジャーの全英でも繰り返された。全盛期と同じように、メジャーの重圧に押しつぶされた。1番で第2打をグリーン右前のバンカーに入れてつまずくと、そこから3連続ボギーで首位陥落。それでも53歳と161日の体にむち打って戦った。パーを重ねて再び首位に浮上したが、12番でピン奥4メートルのパーパットがカップをなめて首位陥落。続く13番もボギーで夢はついえた。

 1867年トム・モリス・シニアの46歳99日の最年長優勝記録は更新できなかった。しかし、53歳は世界屈指の悪コンディションの中、技と経験を駆使して輝いた。3日目を終わって単独首位。帰ってきた老雄の奮闘は、世界中のゴルフファンを感動させた。「もし私が勝ってしまったら、どうなっていただろうね。人は何歳になっても、夢を追いかけることができるんだよ」。

 ビジネスマンとしても成功を収めているノーマンは、今後もツアーに完全復帰する予定はない。ただ今週は全英シニアオープンに出場する予定。「その次の週は全米シニアオープンにも出る。でも、その先のことは、今は考えられない。ゴルフだけが人生じゃない。私には、ほかにもやらなきゃいけないことが山ほどあるんでね」。ノーマンはあくまでマイペースでゴルフと向き合っていく。