<男子ゴルフ:関西オープン>◇2日目◇22日◇滋賀・滋賀GC(7080ヤード、パー72)◇賞金総額3000万円(優勝700万円)

 プロ初優勝を狙う石川遼(16=パナソニック)が、大会最多アンダーパー記録更新を視界にとらえた。ティーショットの乱れをアイアンでカバーして70で回り、通算9アンダーの135。単独首位を守り、2位との差を前日の3打差から4打差に広げた。残り2日間も同じペースでスコアを伸ばせば、92年に木村政信がマークした4日間通算16アンダーの更新も可能。74回目を迎えた日本最古のオープン競技で、新たな歴史をつくるチャンスが来た。

 伝統の大会で、石川が歴史を塗り替える。通算9アンダーにスコアを伸ばし、最多アンダーパーの大会記録「16アンダー」を上回るペースで、予選2日間を終えた。「素晴らしいスコアできている。明日、あさっても集中していけばいいスコアは出る」と力強い。

 厳しい展開を跳ね返した。スタートの1番で、第1打を左の池に入れてボギー発進。フェアウエーキープ率は初日の57%から21%に下がり、ラフに何度も捕まったが、それを補うアイアンショットがあった。7番パー4では、残り105ヤードのラフから1・5メートルに寄せてバーディー。「野芝のラフだと土付近まで沈むことはないので、焦らずフェースのしんに当たれば飛んでくれる。難しいセッティングを何度か経験し、練習してきたおかげです」。プロとしてツアーを転戦し、身につけた技術だ。

 大会側も想定外のスコアだ。日本オープンとともに、今大会も競技委員長を務める関西ゴルフ連盟の野村惇氏(64)は「グリーンが軟らかくなっていたので2日間で7アンダーは行くかなと思ったけど、9アンダーは予想外」と驚く。狭いフェアウエー、10センチ以上の深いラフに苦しむ選手が多い中、石川だけが「別世界」を走って2位とは4打差。「力をつけている。ドライバーも大きく曲がらないし、飛ぶから、ラフに捕まっても残り距離が短く、楽にグリーンに乗る」と野村氏は解説した。

 予選を首位でターンしたツアー開幕戦の4月東建ホームメイト杯では、最終日に崩れて5位だった。「あのときは余裕がなかった。開幕戦より、ドライバーもゴルフ全体も少しは成長してる。崩れる不安は持たなくていい」。上位30人中、ツアー優勝経験者は石川以外に井戸木と平石の2人だけ。石川にプロ初優勝だけでなく、新記録達成の期待が膨らむ。【木村有三】