石川遼(17=パナソニック)が出場する男子ゴルフの「カシオワールドオープン」は27日、高知・Kochi黒潮CCで開幕する。手りゅう弾によるクラブハウス爆破事件や地雷脅迫電話などを受けて、26日のプロアマ戦では爆発物処理車とみられる車両が待機し、各ホールに警察官が配備された。27日の初日には空港並みの金属探知機でギャラリーの入場を管理。国内のスポーツイベントでは異例の警戒態勢でスタートする

 開幕前日、クラブハウス前の駐車場奥の目立たない一角に、見慣れない車が配備された。警察車両に交じって、アームらしい装置を備えた車両が待機していた。関係者は何のための車かは明かさなかったが、明らかに爆発物処理用の車両のようだった。25日午前の「地雷を埋めた」という脅迫電話を受け、前夜は高知県警捜査員が金属探知機でコース内を捜査した。幸い爆発物は発見されなかったが、100%嫌がらせとは断定できない。万が一の発見に備えての対策だった。

 コースの中も厳戒態勢がとられた。この日のプロアマ戦では、同じ服装で高知県警の帽子をかぶった警察官が各ホールに1人ずつ配備され、周囲に目を光らせた。私服警官も20人ほどがクラブハウスの周辺を中心に巡回した。警備員も前日の100人から160人に拡大。大会関係者は「人数は公表できない」と具体的人数は明かさなかったが、大勢のギャラリーが詰めかける大会期間中はプロアマ戦以上の警察官がコース内に張り付くことになりそう。この日、警備に当たっていた警察官の1人は「ゴルフ場の警備は初めて。まさか、警備で石川選手のプレーを見るとは思わなかった」と話した。

 ギャラリーにも異例の厳重検査が行われる。今回の会場は入場ゲートが1カ所だけ。そこに空港で使用する通り抜けるタイプと同じ金属探知機を、初日から設置する予定。爆発物、危険物を想定しての使用は「初めてではないか」(大会関係者)という。昨年の入場者は4日間合計1万1962人だったが、今年は石川遼人気を想定して1日6000人に対応できる態勢で、ハイジャック防止並みの検査が行われる。

 もっともこうした厳戒の中でも、選手たちは平常心だった。石川は「気になりません。試合中に制服(警察官)を見たら、かっこいいと思うだけかも」。宮本選手会長も「不安に思う選手もいるかもしれないが、僕自身は気にしない。たくさんの人に警備してもらい、警察も(開催に)全面協力していただき、信頼しているし、ありがたい」と感謝した。

 主催者側は「安全第一を考え、県警の指導に従っている」として、対策などの詳細は公表していない。手りゅう弾爆破、地雷脅迫の犯人像は見えてこない。ツアーでも過去に例がない、緊迫感に包まれた4日間になりそうだ。【赤坂厚】