<男子ゴルフ:カシオ・ワールドオープン>◇3日目◇29日◇高知県Kochi黒潮CC(7300ヤード、パー72)◇賞金総額1億4000万円(優勝2800万円)

 石川遼(17=パナソニック)が粘りを発揮し、10位に浮上した。前半38と崩れるも、自慢のドライバーショットを武器に気持ちを立て直し、最終2ホールで連続バーディーなど後半33の巻き返しだ。71で回って通算4アンダー212とした。この日、大会関係者の試算で「今大会6位以内&最終戦優勝」なら、世界ランクが現在の67位から50位相当まで上がることが判明。マスターズ出場への夢が、一層膨らんできた。通算11アンダーで首位の小田孔明(30)とは7打差だが、最後まで攻めて、1つでも順位を上げるつもりだ。

 最終18番パー5、3番アイアンで放った石川の第2打が風をつかんだ。ピン右奥15メートルに2オン成功で、バーディーフィニッシュ。「気迫で決めた。パッティングがことごとく入らなくても、スコアを伸ばせた」とうなずいた。

 前半は苦しんだ。3メートル前後のパットのミスが目立ち「ドライバーよりパターのほうが曲がってる」と苦笑い。2、3番では連続ボギーに下を向いた。だが、8番でボギーをたたいた後、9番の第1打で「新しい気持ちでいいスイングをしよう」と切り替えた。キャリーで280ヤード、左からの風にも負けずフェアウエーど真ん中をとらえた。この1打で吹っ切れた。

 この日はパー3を除く14ホールすべてドライバーを握り、13回フェアウエーキープ。後半は17番、18番の連続バーディー含めスコアを3つ伸ばした。

 10月日本オープンの2位以降、前半の不振を後半に巻き返す力がついた。最近7戦で前半オーバーパーは8回、そのすべてで後半にアンダーパーを出している。日本オープン以前の16戦では、22回中7回しか後半に伸ばせなかった。日本オープンの難コースをドライバーで攻めきった自信が、前半に崩れてもあわてず、立て直す力となったよう。今回は順位も初日20位、2日目14位、この日10位と尻上がりだ。

 首位とは7打差、優勝は不可能ではないが、簡単に届く位置ではない。だが、石川が「いい順位で終わりたい」と話す通り、上位に入ることが重要だ。大会関係者の試算では、今大会6位以内&最終戦優勝なら、今年末での「世界ランク50位相当」になる。本人も「意識してませんでした」とこの日初めて知らされた。同50位以内に与えられるマスターズ出場権へ、具体的な目標がまたできた。

 「第1関門をクリアした。あとは爆発を待つだけです」。爆発はもちろん最終日の猛チャージの意味。今大会前に起きた爆破騒動を連想させるびっくり発言も、周囲の騒がしさが気にならないほど、ゴルフに集中しているからこそだ。すべての力をそそぎ、オーガスタ切符取りへ、1つでも順位を上げるつもりだ。【阿部健吾】