【ブラックプール(英国)29日=木村有三】「おめでとう」は忘れて、夢のメジャー制覇へ-。今季メジャー最終戦の全英リコー女子オープンは30日、ロイヤルリザム&セントアンズGCで開幕する。先週のエビアンマスターズに続く2週連続優勝を狙う宮里藍(24=サントリー)は28日にメンタルコーチのピア・ニールソン氏(51)と会談。「『おめでとう』の言葉を忘れて、気持ちをリセットしなさい」と手綱を締められた。初Vの達成感に浸ることなく、大目標のメジャー初制覇に挑む。

 久々に「心の師匠」から貴重な言葉をもらった。宮里はニールソン氏と約2カ月半ぶりに再会。クラブハウス内で約1時間以上、熱のこもった講義のテーマは「おめでとうを忘れなさい」だった。会談の中身を父優氏が明かした。

 「『おめでとう』というひと言が、次へのモチベーションを下げることになる。優勝したし、もういいか…という気分になる。そんなふうに気持ちが緩むと、今週の厳しいコースでは戦えない。『もう1度気持ちをリセットして、元に戻してやりましょう』と言われました。僕が考えてたことと、同じでした」。

 先週のエビアンマスターズで米ツアー初優勝を飾った宮里の周囲は、祝賀ムードにわいている。世界ランク1位オチョアからも「おめでとう」と言われ、ハグされた。外国人選手やメーカー関係者ら、会う人会う人から祝福の言葉、握手、抱擁が止まらない。そんな雰囲気を、元女王ソレンスタムさんらを指導してきたニールソン氏は察知。早い段階での気持ちの切り替えを、宮里に求めた。

 もっとも、ニールソン氏の著書「ビジョン54」を何度も読破し、常に前向きな考えを持つ宮里に、慢心はない。「私が一番難しいと思っているのが、勝ち続けること。チャンスがあれば狙っていきたい。目の前の一打に集中するという目標は、今年初めから変わらない」と言い切った。

 調子の良さも持続している。父優氏は「いい感じです。細かい部分は言いたいこともあるが、今週はいいでしょう」と、助言の必要がない状態だ。「どのホールも難しいけど、フェアウエーにあればグリーンを狙っていける。地味に1打1打やっていきたい」。米ツアーに勝ってすぐ迎える大舞台で、心技体ともに充実している。