<女子ゴルフ:伊藤園レディス>◇最終日◇15日◇千葉・グレートアイランドC(6619ヤード、パー72)◇賞金総額9000万円(優勝1620万円)
横峯さくら(23=エプソン)が今季5勝目を挙げ、大逆転での賞金女王を射程にとらえた。前日、日没サスペンデッドになった第2ラウンド(R)残り4ホールを終え、2位に1打差の通算7アンダー単独首位で出た最終Rで、4バーディー、1ボギーの69で回り、通算10アンダー206で完全V。最大で約4400万円差あった、賞金ランク1位諸見里しのぶ(23)との差を、約400万円差に縮めた。残りは2戦。プロ6年目で初の頂点が視界に入ってきた。
大逆転賞金女王への意気込みを聞かれた横峯が、かみしめるように言った。「(約400万円差は)やっと何か追いついた感じがします。でも…、意識しちゃうと精神的に弱いので、自分のペースで1日1日ベスト尽くすだけですね」。威勢の良い言葉も期待されたが、落ち着き払っていた。
賞金女王取りを明言して臨んだ今季。「周囲からの期待に応えないと」と重圧につぶされ、夏場に低迷した。「自分はメンタル面が弱い」と学んだ。9月日本女子プロで優勝した1位諸見里とは、その時点で賞金総額差は約4400万円に開いた。「何でダメなの」と落ち込みは頂点だった。
翌週のマンシングウェア東海クラシック2日目、「来年か再来年くらいに賞金女王を目指して頑張ろうかな」と、あえて「今季女王断念」を口にした。自分の弱さを認めたら、重圧から解放された。自然と「50センチの(パット)を外しても10メートル入るのがゴルフ」と余裕が出た。以降9戦で2勝。1試合平均約660万を稼ぎ、約6000万円を加算した。約1900万円と足踏みしていた諸見里を一気に追い詰めた。この成功体験があるからこそ、約400万差に迫っても、自分に重圧はかけない。学んだのだ。
この日も、優勝を考えず「自分の満足いくプレーをする」。昨年19位が最高位という苦手コースで、特に17番パー3は鬼門だった。初出場だった04年にストローク前にパターがボールに触れたのに気付かず過少申告で失格。グリーン左の池に入れ、ダブルボギーの経験もある。1番で7メートルを沈め、出だし4ホールで3バーディー。後続を引き離したが、「やっぱり17番終わるまでは油断できなかった」という。その鬼門で、191ヤードの距離を9番ウッドでセンターに乗せてパー。「自分の成長を感じました」とやっと笑顔をみせた。
今季唯一欠場した4月ヤマハレディスも、同週の米メジャーのクラフト・ナビスコ選手権に出場。全週出場を続けている。終盤戦でも疲れ知らずの理由は「玄米や野菜中心の食生活と母のマッサージ」。だが最大の強みは、いつでもどこでも寝られることだ。前夜も午後9時過ぎには就寝。アマ時代から、父良郎さんとキャンピングカーで全国転戦し、騒音や振動の中でもグッスリ。良郎さんも「おれのいびきの中で寝られるんだもん。どこでも大丈夫」と、優れた「睡眠力」を指摘した。
大逆転と言われた昨年賞金女王の古閑でさえ、李知姫との最大差は約3000万円だった。日本女子プロゴルフ協会関係者も「はっきりした記録はないですが、前代未聞です」という約4400万円差からの大逆転へ。「いま成長を感じられる分、そういう意味では次の試合も楽しみです」。充実の言葉にこそ、何より説得力があった。【阿部健吾】

