<米女子ゴルフ:HSBC選手権>◇最終日◇2月28日◇シンガポール・タナメラCC(パー72)◇賞金総額130万ドル(約1億1700万円)優勝19万5000ドル(約1755万円)

 日本人唯一の女子ゴルフ米ツアー賞金女王の岡本綾子(58=ダイワボウ)が、宮里藍(24)の「心の成長」を高く評価した。米女子ツアー17勝を挙げ、宮里と同じ米ツアーを主戦場(20試合以上出場)にして5年目の87年に賞金女王に輝いた大先輩は、宮里が米国で苦しんだ末に昨年初優勝を果たしたことで、忍耐力が超一流の域に達したと指摘。今週の国内開幕戦ダイキン・オーキッドの優勝も予想した。日本女子の究極の目標である「綾子超え」に、宮里が近づいてきた。

 岡本は宮里の開幕2連勝を「いつの世でも2週連続優勝は難しい。まあ、今回は開幕からの流れだものね」と高く評価した。2試合の映像は見ていないが、気になっていたフックを打つ宮里のスイングが、昨年の米ツアー初優勝で曲がりを抑えられるようになったことに成長を感じていたという。今年の好発進は、その上に精神的な強さが加わったとみている。

 岡本

 セルフコントロールができるようになってきたということでしょう。自分がやろうとすることをやり遂げられる本当の忍耐力がついてきたのでは。超一流になるにはそこを乗り越えないとね。

 宮里は最終日の1、2番でボギーが先行し、いったんは崩れかけた。そこから再逆転しての勝利に「試合を投げなかった。そこが彼女のすごさ」と、精神面の成長を認めた。

 岡本は米ツアーに挑戦してすぐに勝利を挙げた。宮里が4年もかかったことについては「(スイングづくりに)時間が必要だった」。その上で今年の快進撃を“必然”と見ている。

 岡本

 いろんな人にアドバイスをされて、それをふるいに掛けるのは本人がやらないといけない大変な作業。日本でやっても米国でやっても同じことだけれど、彼女は米国でそういう時間が必要だった。(マスコミも含めて)周囲がいい意味で彼女に時間を与えたのがよかった。

 日本女子初の賞金女王になった87年は、24試合で4勝を挙げた。「岡本超え」を目指す宮里も今季、同じ24試合予定している米ツアーを戦う。賞金女王の可能性については予想しなかったが、「今週、日本で勝つんじゃない」と、日本女子ツアー開幕戦ダイキン・オーキッドの優勝を予想。さらに「いえ、勝つべきよ」と言い換えた。日本では気負いから自滅することが多かった宮里の真の「強さ」を示す試合とみている。【赤坂厚】