<米男子ゴルフ:全米プロ選手権>◇最終日◇15日◇米ウィスコンシン州コーラー、ウィスリングストレーツ・コース(7507ヤード、パー72)◇賞金総額750万ドル(約6億3750万円)優勝135万ドル(約1億1475万円)

 【コーラー(米ウィスコンシン州)=阿部健吾】土壇場で珍事が起きた。メジャー初Vを狙ったダスティン・ジョンソン(26=米国)が、最終18番の第2打で、ギャラリーロープの外にある砂地をバンカーと思わずに、クラブの底を地面につける規則違反。ホールアウト後に指摘を受けて2罰打を加えられ、通算9アンダーの279。プレーオフに進めず5位に終わった。

 入れれば優勝と思っていた最終18番の1・5メートルのパーパットが右にそれ、プレーオフへと気持ちを切り替えていたD・ジョンソンに、競技員が駆け寄った。「バンカーでクラブを地面に着けたと思います」「え、どこのバンカー?」。身に覚えのない指摘に、耳を疑った。そのままクラブハウスに引き揚げ、映像を確認。事実は非情だった。

 2位に1打リードして迎えた18番。第1打は大きく右にそれ、ギャラリーの中へ飛び込んだ。人垣が囲む第2打地点に到着し、グリーンを眺め、クラブを選んだ。そのままクラブの底を地面につけ、スイングに入って強振。グリーン左前のラフへ球は飛んだ。その砂地が、バンカーだとは思わなかった。2罰打を加算され、2打足りずにプレーオフに進めず。「何て言っていいのか。ギャラリーが踏み付けていたし、ただの土だと思った」と振り返った。

 世界一の多さとされる1000個以上のバンカーが最後にドラマをつくった。普通、ギャラリーがバンカー内を通過することはない。しかし、あまりの数の多さから、今大会ではギャラリーロープの外にあるバンカーの中を、観衆が歩いてもいいことになっていた。主催者は大会前から選手に通知していた資料を発表。「コース内のすべてのバンカーは、大会中はすべてバンカーとして設定されています。ロープ内外を問わず、足跡、タイヤ痕があってもです」と記載されていた。D・ジョンソンは「読んだ気がする」と言うのが精いっぱいだった。

 6月全米オープンでも、3打リードで最終日を迎えながら、82の大崩れで8位。若手世代随一の飛ばし屋が今度こその思いで臨んだメジャー最終戦で、予期せぬ結末。「何か盗まれた気がするかだって?

 少しはね。でも、それが現実」。さすがに意気消沈していた。