<女子ゴルフ:NEC軽井沢72>◇最終日◇14日◇軽井沢72G北C(6603ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 福嶋晃子(38=NEC)が惜しくも今季初勝利を逃した。5バーディー、1ボギーの68で回り、通算16アンダー200でアン・ソンジュ(23)とのプレーオフに進出。2ホール目で敗れたものの、昨年の賞金女王で今季も賞金ランク1位を走る最強の若手を追い詰めた。7月に結婚後初の最終日のプレーとあって、ラウンド中、アンに「早期結婚のススメ」をする余裕も。同一大会最多優勝記録に並ぶ大会5勝目はならなかったが、「妻でも強し」の印象を残した。

 プレーオフ2ホール目。福嶋晃は上り7メートルのパットを打った瞬間、ボールを諦めの表情で見送った。「(先に打った)アンさんがバーディーパットを決めた瞬間、終わったと思うくらい、ものすごく切れる難しいスライスラインだった」。健闘をたたえるファンには笑顔で応えたが、クラブハウスに入った瞬間、号泣。目をおさえたハンカチがみるみるぬれそぼった。

 悔し涙の価値がある好勝負だった。「体は日に日に硬くなり、足も重くなりました」と疲労に耐えて奮闘。2打差の単独首位でスタートし、11番までにアンに逆転されたが、2度追いついた。18番では決めれば優勝のバーディーチャンスも。15メートルのパットはカップの縁に止まったが、栄冠に手をかけるところまで来た。

 暑さがピークとなった15番からは、日傘の中にアンを誘う気遣いすらみせた。新婚生活について“取材”するアンに「楽しいわ。最高よ」と余裕のコメント。さらに「あなたも早く結婚しなさい」と早期結婚のススメまでした。

 号泣の余韻を消して臨んだ会見では「こういう試合を続けていればチャンスは来る」とうなずいた。新婚アッコが後半戦の台風の目になる。【塩畑大輔】