<女子ゴルフ:CATレディース>◇最終日◇21日◇神奈川・大箱根CC(6676ヤード、パー73)◇賞金総額6000万円(優勝1080万円)

 有村智恵(23=日本ヒューレット・パッカード)が3バーディー、2ボギーの72で回り、通算11アンダー208で今季2勝目を挙げた。首位で迎えた最終日は森田理香子(21)とのマッチレースの展開。4度並ばれ、15番ホールでは逆転を許したが、16番のバーディーで再逆転し、そのまま1打差で逃げ切った。最近4戦2勝。昨季賞金女王で賞金ランク1位アン・ソンジュ(韓国)に約1100万円差の3位に迫った。国内ツアーを盛り上げるためにも、勢いを持続し、逆転による初の賞金女王を狙う。

 1打差リードで迎えた最終18番。森田が5メートルのバーディーパットを決めればプレーオフに持ち込まれる場面も動じない。

 有村

 ここで入れたら、この子(森田)はスターになるなと思って見ていた。

 森田はバーディーパットを外し、悔し涙を流す。50センチのパーパットを沈めれば優勝も、下りの微妙なラインが残る。

 有村

 (森田の)涙をむだにしないように入れようと。

 最終ホールまでもつれた雨中のマッチレースも、最後まで余裕があった。

 2打差首位で迎えた最終日は、14番まで4度も森田に並ばれる展開。15番では2メートルのバーディーパットを外し、逆転を許す。残り3ホールの土壇場だったが焦りはなかった。「この内容では優勝者にふさわしくない。このままでは終われない」。16番では残り151ヤードの第2打を8番アイアンで3メートルに寄せてバーディーを奪取。1ホールで再逆転し、優勝を引き寄せた。

 父への思いが力になった。10歳からゴルフの指導を受けた父明雄さん(65)が座骨神経痛で、6月に3時間の手術を受けた。2週間の入院後、現在は熊本の自宅でリハビリ生活を送る。娘の試合を見に行きたくても行けない父のためにも勝ちたかった。先月のスタンレーレディスでは「3万年に1度」といわれるアルバトロスとホールインワンの同時達成で圧勝。この日は大接戦を制して最近4戦2勝。明雄さんには「手術後に2勝。最高の励みになります」と感謝された。

 2週連続で外国人選手の優勝、昨年女王アンの賞金女王争い独走ムード…。国内女子ツアーの灯を消さないためにも、負けられなかった。

 アンとは約1100万円差の3位。「彼女(アン)も、まだ何勝もすると思うけど、期待されることはうれしい。賞金女王レースを楽しみたい」。気負いもなく、堂々とした態度に「日本人エース」の風格が漂い始めた。【田口潤】