<男子ゴルフ:ANAオープン>◇3日目◇17日◇北海道・札幌GC輪厚C(7063ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 16歳アマ伊藤誠道(まさみち、杉並学院高1年)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算12アンダー204で前日までの首位を守った。アマ選手が2日連続首位に立つのも、最終日を首位で迎えるのも、99年に日本ゴルフツアー機構が設立されて以来初めて。石川遼も成し遂げていない快挙で弾みをつけ、一気に優勝を狙う。伊藤と並ぶ首位にカート・バーンズ(30)。1打差の2位に小田孔明(33)がつけた。池田勇太(25)は同6アンダー13位と、大会連覇が厳しい位置になった。

 グリーンを横切るスネークラインが、最終日最終組への道だった。16番パー3。伊藤は第1打をややオーバーさせ、カップまで15メートルのバーディーパットを残した。「1つ下の段に向かって、最初はフックで最後スライスする変なライン。だから2パットでいいと思った」。だがボールは、その難しいラインに乗ってするするとカップへ。「入れ」とばかりに、パターを天に突き上げると、見事にホールに転がり込んだ。

 「完璧なライン、完璧なタッチでした。高校の同級生が中継を録画してくれているので、見るのが楽しみです。自分を見るのが好きなので」。無邪気な笑顔も高校生らしいが、プレーは大人そのもの。同組だった小田孔が「フェアウエーを外さない。ボールにコンピューターが内蔵されているんじゃないかと思う」と話すように、第1打のフェアウエーキープ率は今大会3位の71・43%。過去10年で年間ランク1位6回の“絶対王者”井戸木に約1%差と迫る数字だ。

 年に似合わぬ冷静さも際立った。7番パー4で今大会初めてのボギーをたたくと、急にショットが左右に乱れ始めた。「12番のティーショットが左に曲がった時に、自分は何を力んでいるのか、と思った。頑張っただけで勝てるとは限らない。力を抜こうと考えた」。そのために直後の12番パー5第3打残り80ヤードを、100ヤード前後を打つ大きめのウエッジで打った。

 「あそこで52度のウエッジを持った僕、すてきです(笑い)」。軽めに振ったショットは、1メートルのバーディーチャンスにピタリ。力みを取り、自然体を取り戻すきっかけを自分でつくった。落ち着いた挙動に加え、大人びたプレーに、ラウンド後は平塚から「コヤジ」のあだ名まで贈られた。

 アマの最終日最終組プレーは、07年に同じ高1でマンシングウェアオープンKSB杯優勝を果たした石川遼すら成し遂げていない。「長いパットも入るし、流れは来ていると感じる。やるからには優勝を目指したい」と最後は若々しく意気込んだ。【塩畑大輔】