<女子ゴルフ:マンシング東海>◇最終日◇18日◇愛知・新南愛知CC美浜C(6416ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

 服部真夕(23=LIXIL)が、涙の今季初優勝を飾った。2位から出て3バーディー、ボギーなしの69で回り、通算10アンダーの206でツアー通算3勝目を挙げた。師匠・岡本綾子の教えを守り、勝負どころの15番でバーディーを奪取。同じ愛知出身の2位金田久美子(22)に2打差をつけ、初の地元Vを達成。両親の前での勝利も初めてで、歓喜の涙をこぼした。

 涙が、突然こみあげてきた。いつも通りクールな笑顔で応えていた優勝インタビュー。服部の表情が激変したのは、家族の話を振られたときだった。

 「やっぱり今回は家族が見に来てくれたので。いつも、あの…」。言葉が続かない。それでも震える声を振り絞った。「支えになってくれてるので、ありがとうと言いたいです」。

 熊本で古閑美保や上田桃子らを輩出していた坂田塾の東海校第1期生。12歳で入塾しゴルフに夢中だった中学生時代、バスで1時間かけて毎日練習場へと通った。約4時間の打ち込みが終わると、母伊子(よしこ)さん(53)が作った弁当を持って、仕事を終えた歯科技工士の父光司さん(57)が車で迎えに来てくれた。トッププロへの礎を築く時期に毎日サポートしてくれた両親。その2人が見守る地元で初めて挙げた勝利に、23歳の目が潤んだ。

 師匠の言葉も心に響いた。プロ転向直後から指導を受ける岡本綾子から朝6時にメールが届いた。「一生懸命やってきたご褒美がくるのは今日なのかな。自信を持って」。起床直後に文面を見た服部は「力になりました」。同じ愛知出身でジュニア時代から戦った金田に1打差に迫られた15番、8メートルのバーディーパットを沈めて勝負を決めた。「岡本さんには低く長くストロークするように言われた。それができた」と胸を張った。

 生涯獲得賞金は2億円を突破し、今季賞金ランクも7位に浮上した。「少しでも上に行きたいです」。若手でも屈指の潜在能力を持つ、将来の女王候補。プロ5年目の実りの秋へ、弾みをつけた。【木村有三】