女子プロゴルファー古閑美保(29=京セラミタ)が27日、今季限りの引退を電撃表明した。08年の日本女子ツアー賞金女王は、実力派美人プロとしてツアー屈指の人気を誇るものの、09年5月の左手首負傷から低迷。今回の決断理由に体力、精神面の限界を挙げ、かねて“公言”してきた「30歳までに引退」という初志を貫徹した格好だ。関係者によると結婚などの予定はない。現状では11月18日開幕の大王製紙エリエールレディスが現役最終戦となる。

 まだ29歳。プロ11年目の早すぎる引退はこの日午後、古閑のマネジメント事務所フォロースルーからマスコミ各社へのファクスで発表された。引退理由には、09年5月の中京テレビ・ブリヂストンレディスで痛めた左手首に端を発するコンディション不良を挙げ、身体的、精神的な限界を感じ、プロゴルファーとしての活動に終止符を打つことを決めたという。

 今季は16試合で予選落ち7回、トップ10は8月初旬meiji杯2位の1試合だけ。08年賞金女王も賞金ランク46位と低迷。明日29日開幕のツアー最高峰競技・日本女子オープンの出場資格も持っていなかった。

 古閑はブログで「今の気持ちは『残り試合全力でやる!』です。スパッと決断するのは私の性格です。この決断が変わることは無いのですが、今の気持ちと言われると正直、最後の試合が終わって、プロゴルファー人生が終わったその時にならないとわかりません。だからその時にみなさんにお伝えしようと思います」と心境をつづった。

 衝撃的な発表だが、古閑本人は今季開幕前から引退の意思を固めていたようだ。熊本出身で同郷の妹分・笠りつ子(23)は「2月の沖縄合宿のラウンド中に(引退の意思を)聞いた」と言う。もともと10歳までは“野球少女”で「本気でプロ野球選手になりたかった」と言い「ゴルフは仕事」と話していた。一方で、女性的な感性も強く「29歳までに結婚して引退する」という“寿引退願望”もあった。

 08年には賞金女王も獲得。昨季は4月ヤマハレディースで復活優勝を飾ったが、棄権2試合、予選落ち4試合など左手首以外にも体調不良を訴えることが多く、賞金ランクも25位。ベストパフォーマンスが望めなくなったと悟り、今年が最後の思いでシーズンに臨んでいた可能性は高い。

 今後について「ゴルフ界に恩返ししたい」として、ジュニアゴルファーの育成や社会貢献活動に取り組んでいくとしているが、具体的な方針は未定。引退会見の予定はないが、SANKYOレディース練習日の10月5日に取材に応じるという。

 今季はSANKYOレディース以降、最大8試合に出場可能だが、日米ツアー共催のミズノクラシック(11月4日開幕・近鉄賢島CC)と、今季優勝者と賞金ランク25位までの選手のみで争う最終戦LPGAツアー選手権(11月24日開幕・宮崎CC)にはまだ出場資格がない。現状なら、11月18日開幕の大王製紙エリエールレディス(香川・エリエールGC)が引退試合となる。【加藤裕一】

 ◆女子プロの引退

 生涯スポーツの色合いが強いプロゴルファーには「引退」という概念が乏しく“自然消滅”するケースがほとんど。過去に引退を正式表明した女子のトッププロは94年の大迫たつ子(59)と04年村口史子(45)の2人だけ。