<男子ゴルフ:日本オープン>◇初日◇13日◇千葉・鷹之台CC(7061ヤード、パー71)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 21歳の新星、秋吉翔太(フリー)が、2アンダーの69で回り、首位と2打差2位につけた。キャディーの父卓さん(47)のサポートを受け、プロ転向後のツアー初戦で難コースを攻略。同世代の石川遼(20)やアマチュアの松山英樹(19)に注目が集まる中、無名の若手が鮮烈に全国デビューした。

 初々しさと、必死さが伝わる第一声だった。2打差2位と好発進した秋吉が、汗をぬぐって口を開いた。「取りあえず一生懸命やろうと思いました。前半は精いっぱいだったので、記憶にないんです。すみません…」プロ3年目で初めて出たツアーが、日本最高峰のメジャー大会。前半イン6ホールで3オーバーも「明日につながるゴルフをしよう」と、1打に集中。4番では17ヤードをチップインして初イーグルを奪った。緊張や重圧を懸命のゴルフで乗り越えた。

 日本オープンは、人生を変えた大会だった。樟南高3年時の08年にアマとして初出場。予選落ちしたが、そのときにプロ転向を決意した。「ショットはプロにも負けてないって、ガキの頭で思ったんです」。だが、09年1月にプロ宣言したものの、その後は試合に出られず苦労した。

 浮上のきっかけは、キャディーを務める父卓さんから今大会前に言われた言葉にあった。「お前は中3のとき、高3のときに良い成績を残している。3年周期だよ」。確かに05年は九州ジュニアで3位に入り、08年は大分国体で優勝した。今年も9月九州オープンは8位に終わったが、繰り上がりで今週の出場権を獲得していた。「今年だ!」。不思議な“3年周期論”で前向きな気持ちを取り戻した。

 注目の石川、松山より1学年上の21歳。前日12日には石川から「お久しぶりですね」と声をかけられ「覚えていてくれたんです」とおどけた。「松山とか遼とか、知ってる後輩もいるし、若手がかたまってツアーに出てきている。自分もその中に入っていければ」。今週はブレークする大チャンス。元レスキュー隊員の父に支えられながら、難コースを攻め続ける。【木村有三】