<女子ゴルフ:マスターズGCレディース>◇初日◇21日◇兵庫・マスターズGC(6458ヤード、パー72)◇賞金総額1億2300万円(優勝2214万円)

 古閑美保(29=京セラミタ)が引退表明後ベストとなる5位発進を決めた。08年賞金女王が、アン・ソンジュ(24)横峯さくら(25)の後輩女王を引き連れて、約1000人の大ギャラリーが見守る中、1アンダーの71。首位と2打差の初日を終え、優勝の可能性について「お好きにどうぞ、書いてください」-。今大会を含め最大5戦の“引退興行”で、ファンに感謝の応援御礼Vも見えてきた。

 6オン1パットの大失態も、スターにとっては“華”になる。古閑が大声でグチをこぼした。

 「あれね!

 ほんとムカついた!

 あの後もずっと『あのダボがなかったらなあ』って、ずっと思ってた」

 前半8番パー5のダブルボギー。ピンまで残り107ヤードでピッチングウエッジの第3打、フェアウエーど真ん中の絶好のライから、ボールはキャリーでグリーンを越え、深いラフへ。アプローチは“ホームラン”して、返しもピン奥エッジまで…。痛恨のミスを明るく笑って振り返った。

 電撃引退表明の9月27日から約1カ月。“引退興行”に突入した人気者の最後を見届けようと、03年開始のマスターズGCレディースで初日最多、前年比約2割増のギャラリー4609人が詰めかけた。

 同組は09年賞金女王横峯と昨季女王のアン。しかも常に1000人近いファンに囲まれた。燃える要素がそろった。3番で4メートルの下りスライスラインを沈めて、バーディーが先行。8番のダブルボギー直後には3連続バーディー。パーオンは18ホール中9回と不安定なショットを抱えながら、パットに救われて1アンダーの71をマーク。引退表明後の3試合で最高の5位で初日を終えた。「アン・ソンジュが結構、私になついていて…。『何で辞めるの?』とか『たまには試合に出てきてください』とか話しかけてくるんですよね」。そんなアンに1打差と食い下がり、横峯とは同スコア。08年女王が先輩の意地を見せた。

 今大会を含めて出場可能な試合は最大5試合だが「出る限り、目標は優勝」の姿勢に変化はない。この日のホールアウト後、打撃練習場で打ったのは約20球。使ったクラブはドライバーと、ダブルボギーの要因となったピッチングウエッジの2本だけだったが、持病化した左手首痛を踏まえての調整だ。練習後は約100人のファン全員にサインした。

 残り少ない現役生活。今大会に、優勝の可能性はあるのか?「ご自由にどうぞ、好きに書いてください」-。昨年4月のヤマハレディース以来の通算13勝目を目指し、ツアー屈指の人気者が、ファンのためにスパートをかける。【加藤裕一】