<男子ゴルフ:ブリヂストンオープン>◇3日目◇22日◇千葉・袖ケ浦CC袖ケ浦C(7119ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 ニッカーボッカーとハンチング帽の個性派、すし石垣(37=ゴルフパートナー)が4バーディー、2ボギーの69で回り、通算7アンダー206、首位と2打差の4位に浮上した。ショットを打つ前の緊張感を和らげ、力みを取るため、顔から体全体の力を抜く「アホになる」作戦が成功。悲願のツアー初優勝にあと1歩まで近づいた。谷口徹(43)と宮本勝昌(39)が通算9アンダーで首位に並んだ。

 全身の力を抜いた。時には口をだらっと開けた。すし石垣は、ショットを打つ前に「アホ」になった。スイングの力みを取るための作戦。16番までは4バーディー、ノーボギーと一時は首位に並ぶ。終盤17、18番の連続ボギーで首位陥落も2打差4位。作戦は成功だった。

 ショットを打つ前に、考えすぎて、力が入ることが多い。練習場と同じように、いかにリラックスして打てるか。考えついたのが「アホになる」作戦だった。「偶然思いついた。テレビは見ないし(世界の)ナベアツのまねではない」。同組の石川からは「めちゃくちゃリラックスしてますね。うまく力が抜けてますよ」とほめられたほど「アホ」になれた。

 賞金ランク69位。70位以内に与えられる来年のシード権獲得へ、ギリギリの戦いが続く。心が休まらない日々。2週間前には母富枝さん(57)が健康診断でがんの疑いをかけられた。先週の再検査でがんの疑いは晴れたが、母の不安を思えば「シード権なんて小さい悩み」と思えた。大好きなゴルフを楽しんでやろうと気持ちを切り替えて、今大会に臨んだ。

 この日は雨でスタート時間が午前9時50分から11時半に遅れた。昼食を食べる暇がなかったため「10番くらいからおなかが減って、頭が働かなかった。スタミナも切れた」と終盤の失速につながった。「今日は焼き肉を食って、酒でも飲んで寝ますよ。“すし、焼き肉を食う”ですね」。今日23日の最終日も、打つ前にアホになり、悲願のツアー初優勝をつかむ。【田口潤】