<女子ゴルフ:森永製菓ウイダーレディス>◇2日目◇29日◇千葉・森永高滝CC(6652ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 個性的なスイングフォームの永井奈都(29=新大阪GC)が7バーディー、1ボギー、ベストスコアの66をマークし、通算6アンダー138で、単独首位に立った。極端な縦振りのスイングに「おはらい打法」の異名を持つ。正確性を武器にした独特のスイングを子供のころから貫いてきた。プロ10年目。ツアー初優勝をかけて最終日に臨む。初日首位の服部真夕(23=LIXIL)は通算5オーバーの63位で予選落ち。初日首位からの予選落ちは88年のツアー制度施行後は7人目となった。

 神主がおはらいをするように、極端にクラブを振り上げた。永井は独特の「おはらい打法」を武器に、ベストスコアの66をマーク。自身初の単独首位で、ツアー初優勝に王手をかけた。「『(18番の)バーディーパットが入ればベストスコアやな』と思ったけど」と半信半疑の表情で、はんなりした京都弁を口にした。

 9歳で父から手ほどきを受けた時からのスイングだった。トップ時は左腕で顔が隠れ、フィニッシュ時は右腕で顔が隠れる。プロの中では明らかに異質だが「器用じゃないから」とポリシーを貫く。平均飛距離は約210ヤードと最低レベルも、07年から今年までの4年間でホールインワン5回など、抜群の精度を武器にしてきた。

 ツアー初優勝のかかる最終日は、頼もしい助っ人もいる。立命大ゴルフ部時代の同級生で、京都・嵐山の料理店「天ぷら

 松」の若おかみ・松野麻里子さん(30)がキャディーバッグを担ぐ。今季は決勝ラウンド進出した12戦中10戦で最終日にスコアを落とす。不安を残すが「うちが来てるときくらい、楽しくしよな」との若おかみの言葉を支えにする。

 03年プロツアー参戦後、賞金シード権を獲得したのは09年の1回。最終予選会9位の資格で出場する今季は、23戦中11戦で予選落ちし、現在賞金ランク75位と50位以内の来季シード権獲得へ、ギリギリの戦いが続く。「(飛距離のない自分の)拾って粘ってのゴルフは明日も変わらない」。プロ10年目。ついに自己流「おはらい打法」の花開く時が来た。【田口潤】

 ◆永井奈都(ながい・なつ)1981年(昭56)11月1日、京都市生まれ。9歳でゴルフを始める。立命大在学中の01年にプロテスト合格。09年賞金ランク49位に入り、初の賞金シード権を獲得。ホールインワンはアマ時代から含めて8回記録。今季は最終予選会9位の資格で出場。得意クラブはアプローチウエッジ。トレーナーは石川遼と同じ仲田健氏。162センチ、52キロ。

 ◆個性派スイング

 女子では日本女子プロゴルフ協会の樋口久子前会長の「マグネティック・スイング」が有名。大きく体重移動しながら、インパクト時に磁石のようにアドレスの位置にクラブが戻るため、米メディアから称された。現役では横峯さくらの極端なオーバースイングが異彩を放つ。