<女子ゴルフ:森永製菓ウイダーレディス>◇最終日◇30日◇千葉・森永高滝CC(6652ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 有村智恵(23=日本ヒューレット・パッカード)が、通算7アンダー209で並んだ馬場ゆかり(28=ビックカメラ)とのプレーオフを制して今季3勝目を挙げた。両手首痛で先月の国内メジャー日本女子プロ選手権を欠場。一時は練習もできず、日常生活にも支障が出るほどの痛みだった。同じ熊本県出身の古閑美保(29)を引退に追い込んだ「職業病」を抱えながら、区切りのツアー通算10勝を達成した。賞金ランクも2位に浮上。残り4戦でミラクル逆転賞金女王を狙う。

 ケガに勝った。馬場とのプレーオフ2ホール目。馬場の7メートルのバーディーパットはカップに蹴られた。有村は入れば優勝の1・5メートルのバーディーパットを難なく沈めると、両手を高々と突き上げた。契約を結ぶスポンサー大会を、初の逆転で制し区切りの10勝目。両手首には痛々しいサポーターが巻かれていた。

 先月、両手首の三角繊維軟骨複合体(TFCC)損傷が判明。国内メジャー日本女子プロを直前で欠場した。古閑を今季限りの引退に追い込んだ「職業病」。一時は携帯電話も使用禁止、包丁、フライパンも持てず、大好きな料理もできなかった。全治は不明で「不安だらけでした」。

 痛みが消え、ツアーに復帰しても普段の1割ほどしか練習ができない。「練習の根拠がないと自信が持てない」と女子プロで1番の練習量を誇る。焦りが募った。支えはブログやツイッターへの、ファンからの1000件以上のコメント。「『無理しないで』『しっかり休んで』の声が多かった」。前週まではあえて優勝を考えないようにした。

 契約を結ぶスポンサー大会の今週はかけに出た。ケガの前と同様に大会前から日没まで練習を続けた。「痛くなったら休もうと。怖がって練習しないのも良くないし、うまく付き合うしかない」。練習後はマッサージ、電気、超音波治療に1時間以上も費やした。ホステスプロとしての責任感で勝ち取った優勝だった。

 賞金ランク2位に浮上。残り4戦で同1位アン・ソンジュ(韓国)との差は約3278万円。数字上は厳しいが「もう1勝したい。上に近づけるように頑張りたい」。ケガに打ち勝つ精神力に、ミラクル逆転賞金女王の期待が高まる。【田口潤】

 ◆国内女子ツアーの10勝

 有村は31人目の到達者になった。23歳342日での達成は88年ツアー制度施行後では、宮里藍(20歳133日)横峯さくら(23歳129日)に次ぎ3番目のスピード記録。優勝回数のトップは69回の樋口久子。