<女子ゴルフ:大王製紙エリエールレディス>◇初日◇18日◇香川・エリエールGC(6419ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝1800万円)

 古閑美保(29=京セラミタ)が“引退試合”で首位と4打差の好位置につけた。ショットの不調に苦しみながら、4バーディー、2ボギーの70で17位。今日19日は豪雨、強風が予想されるが「崩れた方が、チャンスがある」。天の後押しを受け、来週のツアー最終戦LPGAツアー選手権(24日開幕、宮崎CC)の出場権が発生する優勝を狙う。残り2戦連勝で逆転賞金女王の可能性が残る横峯さくら(25)は2打差7位、同じく有村智恵(23)は17位につけた。

 最高のフィナーレを夢見て、古閑が踏ん張った。前半9番パー5で、ピン奥2メートルを沈めて初バーディー。10番は8メートル、14番は10メートル以上のロングパットをねじ込み、スコアを伸ばした。弱い雨が降り続く中、4バーディー、2ボギーの70。「へなちょこショット。長いパットが入ってなければ、ひどかった。今できる精いっぱいのゴルフ」と苦笑いした後、一言こぼした。

 「もっと悪くなってくれないかな…」

 天気だ。エリエールGCは前回開催の09年に、有村がツアー歴代5位、同シーズン最多アンダーパー記録の通算20アンダーで優勝をさらった。バーディー合戦必至のコース。引退要因の左手首痛を抱える身には、分が悪い。「もっと崩れてくれたら、周りは伸びない。私も崩れるかもしれないけど、順位の上がる可能性が出てくる」という。

 天の配剤か。雲行きはとても怪しい。開催コース近辺の天候は大崩れする見込みだ。大会本部などの調べでは、正午前後の予想降水量は1時間あたり12ミリ。土砂降りの雨。風も毎秒5~6メートル前後に強まる。

 前日17日、この日同組予定だった上田が出場選手登録をミス、欠場が決まった。楽しみが吹っ飛んだ。「バカ!」とメールを出した。「怒っちゃいましたけど、次やったら、本当のバカだから」。同郷熊本の後輩を思えばこその愛のムチ。「私と桃子の間では、もう終わった問題です」と気持ちを切り替えた。

 初日で首位と4打差は十分に逆転圏内。優勝すれば、来週の最終戦LPGAツアー選手権に出場できる。舞台は地元九州だ。この日は父宏二郎氏(49)らがコースを訪れた。2日目には家族、親戚総勢17人が集結予定。絵に描いたような花道へ、周囲の準備は整った。残るは古閑本人次第だ。【加藤裕一】